広島県立中の生徒死亡、第三者委が初会合 遺族「不適切な指導あったのでは」

取材に応じる左から生徒の姉、母親、父親。母親は生徒が旅行先で選んだというぬいぐるみを抱いていた

 2022年8月に広島県立中2年の男子生徒=当時(14)=が東広島市内の踏切で列車にはねられ死亡した問題で、原因や背景を調べる第三者委員会の初会合が14日、県庁であった。出席した遺族が取材に応じ「過度の宿題や教員の乱暴な言葉、叱責(しっせき)、不適切な指導で追い詰められたのではないか」と語った。

 非公開の会合後、報道陣の取材に応じた両親と姉によると、生徒は入学後に教員との人間関係に悩んでいたという。暴言のような言葉を受けたとして、両親が学校に改善を求めたこともあった。生徒は2学期の始業式の朝に亡くなった。

 遺族は「(死亡の)直接のきっかけになった出来事は把握していない」とした上で「そういう(教員からの不適切な指導の)蓄積でストレスをため、追い詰められていったのではないかと疑っている」と説明。「同級生たちに聞き取りをして明らかにしてほしい」と、第三者委での徹底した調査を求めた。

 第三者委は、遺族側の要請を受けて設置し、有識者6人で構成する。中立的な調査をするため、学校を所管する県教委ではなく、県の知事部局が設けた。

 初会合では、委員長に山口県弁護士会の中嶋善英弁護士を選任。遺族は、叱責内容の解明や再発防止策を求める要望書のほか、同級生や保護者たち37人から集めた証言を提出したという。

 遺族によると、学校側が実施した調査の報告書では、教員による叱責について言及がなく、死亡原因を「不明」としている。この報告書は生徒が亡くなった2カ月後の22年10月にまとめていたが、遺族は23年1月に問い合わせるまで、調査があったこと自体を知らされていなかったという。

 県教委の篠田智志教育長は、第三者委の初会合を前に、12日の記者会見で「非常に重く受け止めており、真摯(しんし)に対応したい。現時点で詳細を答えるのは差し控える」と述べている。

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