好きな楽曲を持ち運ぶ 若者に人気の「ミュージックキーホルダー」 横浜出身の幼なじみが開発

レコードやCDの形をしたミュージックキーホルダー「The Music」

 お気に入りの楽曲を持ち運ぶ─。そんな楽しみ方を提案するミュージックキーホルダーが若い世代に人気を集めている。楽曲を登録し、スマートフォンをかざすと再生する仕組み。開発したのは、横浜出身の幼なじみが共同代表を務めるスタートアップ(新興企業)だ。新型コロナウイルス禍に直面した大学時代。「面白いことをやろう」と試作したのが始まりだった。

 このスタートアップは、SHIDOMODO(シドモド、横浜市港南区)。小学校時代からの友人という蛭田俊輔さん(23)と山本歩さん(24)が、大学を卒業した2023年3月に設立した。

 同社のミュージックキーホルダー「The Music」(1500円から)は、NFC(Near field communication)と呼ばれる技術を活用したのが特徴だ。対応する機器同士を近づけるだけで無線通信が可能になる技術で、交通系ICカードなどに使われている。

 レコードやCD、カセットテープの形をしたキーホルダーに、お気に入りの楽曲やプレイリストを登録。スマホをかざすと、スマホから曲が流れる。曲を登録するには、音楽配信アプリなどからURLをコピーし、The Music専用のアプリに貼り付ければ良い。その日の気分に合わせて楽曲を設定でき、何度でも変更可能だ。

 電子商取引(EC)サイトで発売後、商品を使う様子が動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」で拡散され、大きな話題に。最初の1カ月で5千個が売れ、一時は生産が追い付かなくなった。

 「ここまで反響があるとは思わなかった」と蛭田さん。昭和の時代を知らない「Z世代」を中心にレトロブームが続く中、本物を再現すべく質感にこだわった商品が若者の心を捉えた。楽曲、色、デザインとも自分で選べるため、「ファッションアイテムの一つ。自己表現のツールになっている」。

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