登山ギア 3種の神器「春の必須メンテナンス」点検チェックリスト

登山前には三種の神器(バックパック、レインウェア、登山靴)を必ず点検しよう(撮影:佐野春佳)

春の登山シーズンに入り、お花見ハイクなどに出かける人も多いことだろう。春の陽気に誘われ、自然を感じたいところだが、まずは登山道具を点検しよう。冬に仕舞い込んでいる間に、素材や機能が劣化している可能性がある。

そこで今回の記事では、登山の前に必ずチェックしたい必須アイテム「バックパック、レインウェア、登山靴」のメンテナンスを紹介する。

数ある登山道具の中でも、これらは登山における「三種の神器」と呼ばれており、「この3つにはしっかり金をかけろ」と言われるほど重要なアイテムである。しかし、きちんとメンテナンスを行わないと、せっかくの機能が十分に発揮されなくなってしまう。山歩きは何が起こるかわからないため、安全に楽しめるようしっかりと点検しよう。

■作業前の準備

下記にメンテナンスで準備するものを整理したので、確認してほしい。

・ブラシ ・雑巾 ・アウトドア用洗剤 ・撥水剤

バックパックの点検を行う場合は、事前にポケットや荷室の中にある物を全て取り出しておこう。食べかけの携行食や忘れられたおやつは速やかに廃棄だ。

なお、アウトドア用品はメーカーごとに手入れの方法が異なるため、事前に調べておこう。

■登山の「三種の神器」必須メンテナンス

早速、必ずチェックしたい登山道具と点検リストを確認しよう。

●1. バックパック

水や食糧、衣類などを入れるためのバックパック。山行時の命綱と言っても過言ではないため、しっかりと確認したい。

下記に、バックパックのメンテナンスでのチェックリストをまとめたので参考にしてほしい。

・ファスナーがしっかり開閉できるか ・ショルダーベルトと本体をつなぐ部分にほつれがないか ・バックルはしっかりと固定、解除できるか ・バックルに割れ目やヒビはないか ・調節ひもなどが摩耗していたり、切れたりしていないか ・ショルダーベルトや背面部分にカビが発生していないか ・底面部分が破れていないか ・生地に穴があいていたり、破れたりしていないか ・撥水機能は正常か

特に、バックパック本体とベルトなどのつなぎ目部分は負荷がかかりやすいため、糸のほつれや裂け目がないか要チェックだ。ほつれなどを修理せず無理に使い続けると、登山中に破れてしまう恐れがある。不安な場合は専門店に相談するといいだろう。

また、泥や土などで汚れている場合は雑巾で拭き取るか、ブラシでこすって除去しよう。

汚れを落としたら、モンベルのO.D.メンテナンス マルチクリーナーなどのアウトドア用洗剤で手洗いし、しっかりと乾燥させる。

完全に乾き切ったことを確認し、必要であれば撥水スプレーなどでリュックを保護しよう。

●2. レインウェア

雨に濡れるのを防ぐだけでなく、防風や保温にも役立つレインウェア。登山の必須アイテムの1つだ。

下記のチェックポイントを参考に、しっかりと点検しておこう。

・撥水性、防水性は保たれているか ・破れたり穴があいたりしていないか ・泥や土、汗などで汚れていないか

汚れがあると、撥水・防水機能が弱まるだけでなく、透湿性が低下し蒸れの原因になる。特に、ズボンの裾は泥や土で汚れやすいため、しっかり確認したい。汚れがある場合は柔らかいブラシなどでこすり、きれいに除去しよう。

また、撥水機能が弱まっているからといって、すぐに撥水スプレーなどを使用するのはNG。しっかりと汚れを落としきれいにし、乾燥させたうえで撥水コーティングするのがポイントだ。

●3. 登山靴

最後は、登山靴だ。山歩きのパフォーマンスを左右すると言っても過言ではないため、下記を参考に念入りにチェックしたい。

・泥や土で汚れていないか ・ソールがすり減っていないか ・ソールに亀裂がはいっていないか ・靴底が剥がれていないか ・インソールにカビが生えていないか ・靴ひもが切れていないか ・金具が錆びていないか

ソールに力を入れて割れたり亀裂が入ったりした場合や、ソールのすり減りが激しい場合は、使用せず専門店に修理を依頼するか、買い替えを検討する必要がある。

また、登山靴に使用されているポリウレタンは経年劣化するため、何もせずただ保管しているだけで素材が劣化してしまう。目安としては3〜5年が寿命であると言われているが、メンテナンスや保管方法によってはさらに短くなる。

さらに、意外と見落としがちなのがインソールだ。汗をかいたまま放置することで、カビの発生や異臭の原因になる。必要であれば新しいものに交換しよう。

■登山道具を長持ちさせるコツは下山後の「掃除」と「乾燥」

道具を長持ちさせるためのポイントは、下山後に行う「掃除」と「乾燥」の2つの作業だ。登山後は、汗や埃、泥、土などさまざまな“汚れ”が道具に付着する。放置せずその日の内にしっかり点検、整備を行うのが長持ちの秘訣。

目立つ汚れがなくても、登山の後は砂や埃など細かい汚れが付着しているため、雑巾で拭き取るなどしてきれいに「掃除」するのが大切だ。

また、汗や雨などの水分をそのまま放置すると、錆びやカビの原因になる。リュックであれば、ファスナーのスライダーの動きが悪くなったり、レインウェアや登山靴では蒸れて臭いやカビが発生しやすくなるため、しっかりと「乾燥」させるのが肝要だ。

■事前メンテナンスで楽しい春登山を!

今回は、登山の三種の神器である「バックパック、レインウェア、登山靴」の冬明けメンテナンスについて解説した。道具によってチェックすべきポイントが異なるため、記事内のチェックリストを参考にしっかり点検してほしい。

加えて、道具を長持ちさせる2つのコツ、「掃除」と「乾燥」も紹介した。登山などで道具を使用した後は、泥や土、埃などをきれいに「掃除」するのは基本中の基本なのだが、下山後は疲れてしまい後回しにしてしまいがちだ。しかし、登山道具の整備不良は命に関わることもあるため、しっかりと点検、整備したい。

道具のメンテナンススキルは、これからの春山シーズンだけでなく夏山も含めた全シーズンで役立つので、ぜひ参考にしてほしい。

事前準備と点検をしっかりと行い、安全で気持ちのいい山歩きを楽しもうではないか。

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