大学生で年金保険料納付の猶予を受けていますが、先月のバイト代が「10万円」を超えてしまいました。猶予が取り消されるのでしょうか?

国民年金保険料の学生納付特例制度とは

国民年金は、20歳以上60歳未満の人は必ず加入しなくてはなりません。会社等に勤めるなどして厚生年金保険や共済組合に加入している人の場合は、会社等が加入者に代わって国民年金に必要な負担をしています。

しかし学生のなかには、自分で国民年金保険料を支払うことが難しい人もいるでしょう。その場合に利用できる学生納付特例制度について説明します。

学生納付特例制度とは

20歳を過ぎると国民年金の被保険者になりますが、納付が難しい学生向けに、保険料が猶予される「学生納付特例制度」があります。猶予される期間中は、受給資格期間に算入されます。また、猶予期間中は障害基礎年金や遺族基礎年金を受け取ることも可能です。

学生納付特例制度には、申請可能期間があります。申請が遅れると、申請日前に起きた事件や事故等で障害を負ったとしても、障害基礎年金は受け取れません。学生納付特例の申請年度は、毎年4月~翌年3月までです。保険料の納付期限から2年(申請時点から2年1ヶ月前)まで、さかのぼって申請することができます。

学生納付特例制度の対象者

学生納付特例制度の対象者となるのは、以下の人です。

__・前年の所得が128万円(令和2年度以前は118万円)+(扶養親族等の数×38万円)+社会保険料控除等で計算した所得以下
※学生納付特例制度を利用するにあたって、家族の所得は問われません。

・大学、短期大学、高等学校、高等専門学校、特別支援学校、専修学校および各種学校、一部の海外大学の日本分校に在学し、夜間定時制課程や通信課程を含むほとんどの学生__

学生納付特例制度の対象外となるケース

学生納付特例制度は、ほとんどの学生が利用できる制度です。しかし、対象外となるケースに該当してしまうと、学生納付特例制度を利用できない恐れがあります。

本項では、学生納付特例制度の対象外となる2つのケースについて解説します。学生納付特例制度の猶予が取り消されてしまうのではないかと不安な人は参考にしてください。

所得基準を超えている

学生納付特例制度は、前術で計算した所得基準を超えると対象外となってしまいます。

扶養親族はおらず社会保険料控除等がなかったとした場合は、所得基準は128万円です。アルバイト代が月10万円ある人の所得は、「10万円×12ヶ月=120万円」であるため、学生納付特例制度の対象になります。

しかし、月10万7000円の場合は「10万7000円×12ヶ月=12万8400円」のため対象外となってしまいます。学生納付特例制度を利用したいと考えている人は、アルバイトによる年間所得がいくらになるか確認をしましょう。

厚生年金被保険者となる

学生納付特例制度の所得基準を満たしても、厚生年金被保険者は学生納付特例制度の対象外になります。厚生年金被保険者になる基準は以下の4点です。

__・週の所定労働時間が20時間以上30時間未満
・所定内賃金が月8万8000円
・2ヶ月を超える雇用が見込まれている
・学生ではない(休学中・夜間学生は加入対象)__

学生であっても休学中や夜間学生の場合は、厚生年金被保険者となる可能性があります。月10万円のバイト代がありながら学生納付特例制度の猶予を継続したい場合は、厚生年金被保険者とならないよう注意しましょう。

学生納付特例制度を利用しよう

学生納付特例制度の利用には、所得基準など条件があります。しかし、バイト代が月10万円であれば所得基準内におさまり、学生納付特例制度を利用できる可能性が高いでしょう。

なお、猶予期間中の国民年金保険料については、10年以内であれば追納できます。将来の年金が増える・所得税や住民税が軽減されるなどメリットがあるため、追納制度を活用しましょう。

出典

日本年金機構 国民年金はどのような人が加入するのですか。
日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度
厚生労働省 社会保険適用拡大 特設サイト パート・アルバイトのみなさま
日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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