松山英樹がパリ五輪出場へ前向き 日本のエースを変心させた「ツアー通算9勝目」

マスターズは38位に終わった松山英樹(ロイター)

金メダル候補だ! 男子ゴルフの松山英樹(32=LEXUS)が、今夏のパリ五輪出場へ前向きになっていることが明らかになった。松山は母国開催の2021年東京五輪こそ出場したものの、112年ぶりに五輪競技に復活した16年リオデジャネイロ五輪は辞退。ほかの米ツアー選手と同様、五輪より4大メジャーに重きを置いているからだが、あるきっかけで日本のエースに心変わりが生まれたという。

松山は、当時現地で流行していたジカ熱などを理由にリオ五輪を辞退した。東京五輪では優勝争いに加わり、7人による銅メダルプレーオフに敗れて4位。メダルにはあと一歩届かなかった。

リベンジ金メダルの期待がかかるパリ五輪に関しては、かねて消極的な姿勢を示してきた。前週の米ツアーメジャー初戦「マスターズ」で、2021年以来となる2勝目を狙ったが、思うようなプレーができず38位。そのせいか、ホールアウト後にパリ五輪への意気込みを聞かれると「うーん、あまりないです」と、そっけなかった。

しかし、気持ちはパリ五輪へと傾きつつあるような動きがある。日本ゴルフ協会(JGA)関係者は「松山選手はパリ五輪に、出たいという気持ちはそんなになかった。でも、ジェネシス(招待)に勝ったときに〝出てもいいかな〟というスタンスに変わったと聞いている」と明かした。

松山は2月の「ジェネシス招待」最終日に62のビッグスコアをマークし、2年ぶりとなるツアー通算9勝目を挙げた。欲しかった勝利を手にして心に余裕ができ、パリ五輪のことを考えられるようになったのだろう。

そんな姿勢を受けて、JGAは、気持ちよくプレーしてもらうためのバックアップを進めているという。ウエアやシューズなど細部へのこだわりが強い松山のニーズに合わせる方針だ。

同関係者は「東京五輪のユニホームは、試合で着用するウエアと同じメーカーが手がけたのだけど、いつものとは違って袖の部分などに違和感があったみたい。今回は松山選手の要望をくんで、そういう細かいところも詰めていくことで話が進んでいる」と説明した。

パリ五輪ゴルフ男子の出場資格は、6月17日時点の世界ランキングを基にした五輪ランキングによって決められ、1つの国または地域から最大4人まで出場できる。五輪ランク15位以内であれば、自動的に出場権が得られ、15位以内に選手がいない国・地域からは、上位最大2人が資格を得る。

14日発表の世界ランクで松山は15位。日本勢2位(75位)の中島啓太を大きく引き離しており、五輪出場資格を喪失することはないと言ってもいい。あとは本人の決断次第。ゴルフにおける日本勢初の金メダルへ、日本のエースが変心しないことを祈るばかりだ。

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