6言語駆使のマネキンが銀山坑道をガイド ARで解説「最深部は灼熱地獄だぜ」 兵庫の「超」地下アイドル

銀山ボーイズが人気スポットの巻き揚げ機を紹介する動画の一場面=史跡・生野銀山

 史跡・生野銀山(兵庫県朝来市生野町小野)で、展示マネキンのアイドルグループ「銀山ボーイズ」が、観光坑道の人気スポットで「ガイド」を始めた。作業員のエレベーターや昇降させるための巻き揚げ機など5カ所が対象で、スマートフォンやタブレット端末などをかざすと、拡張現実(AR)などの技術による動画で銀山ボーイズのメンバーが説明してくれる。(小日向務)

 銀山ボーイズは、観光坑道内などに設置された江戸期~昭和期の採掘作業を再現するためのマネキン60体で構成。2017年に「超地下アイドル」としてデビュー曲「ギンギラ銀山パラダイス」を発表し、その後も史跡・生野銀山だけでなく、外部のイベントなどにも登場して活躍している。

 ARのサービスは、観光坑道内などの各ポイントに置かれたQRコードを読み取ると、メンバーのコメントを含めて音声や文字で説明される。

 作業員たちを坑道の深くへ降ろすエレベーターでは「俺たちは地下880メートルまで行ってたんだ」「最深部は温度30度、湿度100%の灼熱(しゃくねつ)地獄だぜ」「地上に上がってからのビールが最高にうめぇもんだ」などと紹介する。エレベーターを動かす巻き揚げ機では「このワイヤーは俺たちにとって命綱」などの説明がある。

 ARサービスは、生野銀山の運営会社「シルバー生野」が、文化庁の助成金を使って整備した。日本語のほか、英語、フランス語、韓国語、中国語、台湾語に対応。もともと坑内はスマホなどの圏外だったが、スポット近くにWi-Fi装置を設置した。観光坑道内でARを利用したサービスは国内で初めてという。通信アプリのLINE(ライン)などを使い、人気スポットの光景などを表示しながら、通話もできる。

 ARサービスは生野銀山のほか、国登録文化財の日下旅館と旧海崎医院(いずれも生野町口銀谷)にも導入。同社は「今後も使いやすさ、見やすさなどを向上させ、より魅力的なサービスにしていきたい」と話している。

 入場料は一般千円、中高生600円、小学生400円。生野銀山TEL079.679.2010

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