発見者らが「マネキン」と見間違えたのは焼けた遺体だった。16日早朝、栃木県那須町伊王野の道路近くの河川敷で2人の遺体が見つかった。粘着テープで巻かれた顔、縛られた手、焼損した体-。関係者の証言などからむごたらしい状況が浮かぶ。地元関係者らしか通らないとされる山深い場所で何があったのか。「信じられない。事件ならば早く解決してほしい」。住民らは不安げにそうこぼした。
「道路から5、6メートル先の川のふちでマネキンのように並んで見えた」
那須町森林組合の三森康雄(みもりやすお)組合長(66)は、目にした現場の様子をそう話した。
同日早朝。森林組合の関係業者が現場近くを通りかかり、道路下から煙が上がっているのを見つけた。携帯電話の電波が届かず、近くの森林組合関係者を通じて通報した。一報を受けた三森さんも現場に駆け付けた。
黒ずんだ着衣。遺体は成人のように見えた。周辺の地面も楕円(だえん)形に焦げていた。
現場は那須町中心部から約10キロ離れた山あいで、周辺には数軒の民家。「この辺りは地元の人しか来ないのどかで事件とは無縁の場所」と三森さんは説明する。
「普通はあり得ない事件。人形だと思っていたのでショックだ」と口にした。
現場近くに住む70代主婦が同日朝、自宅でテレビを見ていると森林組合の関係者が庭先に駆け込んできた。「バケツを貸してほしい」との求めに応じた。「(関係者は戻ってくると)こわばった表情だった。川の水で消火したのではと思う」
現場へ続く道路の途中に職場があるという60代男性は周辺について「道路の先は行き止まり。林業関係者、山菜採り、渓流釣りの人くらいしか通らない」と指摘する。午前8時過ぎ、職場に着くとサイレンが鳴り響き、物々しい雰囲気だった。「不安はある。早く解決してほしい」と話した。