学校内別室は「人生に影響」 支援員派遣するオンブズながさき 動画で活動報告、提言など紹介 

別室での経験の重要性を語る古豊代表(左)

 さまざまな理由で教室に行くことが難しい児童生徒のための学校内「別室」に支援員を派遣しているNPO法人子どもの権利オンブズパーソンながさきは、2023年度の活動報告をユーチューブチャンネルで公開している。古豊慶彦代表は「別室の経験は良い面も悪い面も人生に影響する。そう思いながら大人も携わる必要がある」としている。
 支援員派遣は21年度から始まった。23年度は長崎市の公立小中各1校と、新たに西海市の公立小、北松佐々町の公立中各1校の計4校で、週に1~2回、各校に支援員を派遣し、延べ914人の児童生徒と関わった。佐々町の中学校では、初めて他団体と連携し、同町の民間団体が主体で事業を進めた。
 動画の前半はスライドで活動を報告し、古豊代表が質問に答えている。県が促進する、教室に入りづらい児童生徒の居場所や教育を受ける場になる「校内教育支援センター(スペシャルサポートルーム)」の設置に当たり、3月に県教委に提出した提言書についても説明した。
 県教委への提言は、3年間の活動を踏まえて三つの柱を立てた。一つは「学習するためだけの場所ではなく、休息や傷つきの回復などケアが優先される場所であること」。オンブズながさきでは、カードゲームなど交流や対話が生まれるツールを、子ども同士や支援員との関係づくりに役立てているという。関係づくりの先に、子どもの安心感の醸成があるとした。
 支援員については、専門家に相談できる環境や支援員同士が情報交換する場の必要性を強調。役割を自認し、回復やケアの視点を持って子どもと関われるような研修も不可欠とした。
 報告書のデータはオンブズながさきのホームページから。

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