定年後、〈お金〉も〈時間〉も〈やりがい〉も諦めたくない人が目指すべき道は「社外顧問」だと言い切れるワケ

(※写真はイメージです/PIXTA)

定年退職後は趣味に没頭したいけれど、貯金も年金も足りない…。そんな人におススメなのが、「社外顧問(=定年顧問)」という仕事です。本記事では『楽しさと生きがいを手に入れる 定年顧問』(自由国民社)から、著者の岩﨑和郎氏が、社外顧問として働く魅力についてご紹介します。

早期退職、定年後は「顧問」という選択が最適の理由

早期退職、定年後は、今まで時間が取れずにできなかった趣味に没頭したいという人がかなりいらっしゃいます。定年後の3大趣味と言われるものがあるそうで、それは陶芸、油絵、山歩きだそうです。私の感覚からすると、少し前のデータではないかと思われます。

それはともかく、いずれもかなりのお金と時間を要する趣味といえます。陶芸の場合は、原材料、ロクロから窯、作業場というように、準備にかなりの費用が生じます。人に自慢するような作品を作るにはかなりの年月が必要です。油絵にしても一通り道具を揃えるのも大変ですし、自分なりのテーマを選択するのも、大きな課題となります。

山歩きもただ歩けばいいというわけではありません。人によっては、日本百名山とか、どこそこのトレッキングコースとか、それなりに名のある所を踏破したなどの話を語る人がいます。自分もその中に入るとなると、それなりの費用と日数をかけることになります。

いずれも始めるとなると、それ相応のお金と暇が必要となります。

一方 、早期退職、定年後の収入についてですが、基本となるのは、厚生年金です。人によっては、企業年金や確定拠出年金などに頼ることになります。

厚生年金だけでやっていける人もいますが、通常は、それに加えて5万円ほどの収入が必要といわれています。この足りない分の5万円をどのようにして、得るかということが、大きな課題となります。

パートやアルバイトで1日働くとすると、得られる収入はせいぜい1万円前後でしょう。5万円必要とすると、毎月週1回のペースで働くか、月のうち、一週間だけ働くかという計算になります。

そこで私が提案したいのが「社外顧問」という働き方です。顧問というと、ごく限られた雲の上の人しかなれないものというイメージがあるかもしれませんが、経験と知識、人脈のある定年世代であれば、専門性と経験を活かして働くことができます。

社外顧問は、一事業の部門を対象とする場合がほとんどで、経営に関わるということはほとんどありません。社外取締役と違って、法律上で設置しなければならない役職ではありません。経営や方針に関する決定権もありません。責任範囲も小さいことで、気軽にアルバイト感覚で対応することが可能です。

では社外顧問は何をするのかといえば、事業についてのアドバイスや、人脈の紹介などをします。一番期待されるのは「人脈の紹介」で、多くの人脈がある方であれば、それだけだけでも顧問として働くことができます。

顧問になれば、月に2日働くだけで5万円程度の収入になります。趣味の時間や自分自身の時間をなるべく多くとりたい。しかし働く時間は最小限にして必要な収入を得たい。このように考えている人にとっては、顧問の仕事は最適の仕事といえます。

顧問の仕事は、並外れた能力を必要とせず、これまでのあなたの人生で培った経験をそのまま活かすことができます。パートやアルバイトで不慣れな「作業」をするのとはわけが違います。そういった仕事をするのは、生きがいが感じられますし、人からも感謝されます。

あなたの経験を活かす仕事は、顧問の立場でしか得られません。人から賞賛を得られる唯一の仕事と言っていいと思います。

顧問を目指すなら「スキルの棚卸」をしよう

顧問の契約期間は、3か月から1年くらいで、長いようで短いものです。短い時間の中で、効果や実績を上げるには、あなた自身が持つノウハウを、早く伝えることが重要です。伝える際には、なるべく多くの人に伝えることで、伝える範囲も広がります。伝えることが社会貢献につながるのです。

厚生労働省が、「ポータブルスキル」という言葉で、個人のスキルを説明しています。ポータブルスキルとは、持ち運び可能な能力、あるいは仕事をする上で重要な能力という意味です。主に3つの能力からなりますが、1つ目は専門技術・知識、2つ目は仕事のし方、3つ目は人との関わり方です。

[図表1]ポータブルスキルの構成要素

専門技術・知識は、特定の業界や職種などに適用するスキルを指します。電子・電気、通信、化学など、エンジニアとしての専門技術がそれに該当しますし、営業、人事、総務、経理など事務系と称されるジャンルにも、それぞれ専門技術があります。

仕事のし方は、課題を明らかにして計画を立て、それを実行する能力を指します。マネジメントのスキルといってもいいと思いますが、これは必ずしもリーダー層にだけ固有のものではなく、一般社員であってもリーダーに協力して目標達成に貢献するフォロワーとしての能力も含まれます。

人との関わり方は、あなたが接する3つのタイプの人との関わり方です。3つのタイプとは、社内的な関わり方、社会的な関わり方、部下との関わり方です。

社内的な関わり方としては、上司や経営陣とどう関わるか、社会的な関わり方としては、取引先や顧客とどう関わるか、部下との関わり方としては、評価や指導などをどのように行っているかが挙げられます。長く組織で働いてきた人には、この3つとも、豊富な経験があるはずです。

このうちあなたは、どの関わり方に長く時間を費やしてこられたでしょうか。営業部門の経験が長く、社外との関わりが深かったのか、中間管理職として上司や経営陣の説得に時間を費やしてきたのか、あるいは大勢の部下がいる環境の中で、指導、育成に力を注いできたのか。

ポータブルスキルの3つの能力のうち、あなたがどの分野に時間とエネルギーを費やしてきたかを検証することで、あなたのノウハウを伝える相手が変わってきます。ノウハウを伝える相手をしっかりと定めることが、ターゲットを明確にする1つの手段ともなり得るのです。

顧問の仕事は、あらゆる案件が舞い込んできます。ですからオールラウンダーであることは有利です。しかしオールラウンダーではなくても、あなたならではのスキル、ノウハウにおいて、オンリーワンのものがあれば、あなたの活躍のチャンスは間違いなく広がります。

この観点から、顧問を目指すのであれば、履歴書、職務経歴書、自己PR文などをブラッシュアップすることをおすすめします。表面的な職務経験より、このような「具体的なスキルやノウハウ」こそが顧問先企業の担当者が知りたいと思うことなのです。

自身が持つノウハウを早く、広く伝えることが社会貢献になると考えている人には新しいチャンスが生まれるのです。

岩﨑 和郎

アドバイザー・技術顧問

※本記事は『楽しさと生きがいを手に入れる 定年顧問』(自由国民社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

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