大阪市立東洋陶磁美術館がリニューアルオープン 開放感ある入り口や新カフェがお目見え 特別展を開催

大阪市立東洋陶磁美術館

東洋陶磁の殿堂、大阪市立東洋陶磁美術館(大阪市北区)がこのほどリニューアルオープン。リニューアルを記念した特別展「シン・東洋陶磁―MOCOコレクション」が開かれている。同館が所蔵する約5700件のコレクションの中から代表作を選び、国宝2件、重要文化財13件を含む約380件を装い新たに公開。約2年間の改修を終え、開放感のあるエントランスホールやカフェがお目見えした同館で、名品の数々を鑑賞できる。

【写真】大阪市立東洋陶磁美術館を代表する逸品

大阪市立東洋陶磁美術館は、昭和の実業家、安宅英一による「安宅コレクション」が住友グループから大阪市に寄贈されたことを受けて、1982年に開館。その後、韓国陶磁「李秉昌(イ・ビョンチャン)コレクション」や日本陶磁も加わり、同館は東洋陶磁収集における世界第一級の美術館に。

リニューアルにあたって、高さ約7メートルのガラス張りのエントランスホールを増築。明るく開放的なホールから曲線状の階段を上がって本館展覧会会場に入るアプローチだ。ホールとカフェからは、中之島公園の緑や隣接する川、また横に建つ大阪市中央公会堂が見える。

同館は3階建てで13の展示室がある。うち11室が2階に集中、それぞれさほど広くない空間に優品がずらりと並ぶ。今回の改修に伴い、自然光に近く、陶磁器本来の魅力がよく引き出せる「紫励起LED照明」を導入したほか、美しい斑文と繊細な光彩を持つ同館を代表する作品「油滴天目茶碗(ゆてきてんもくちゃわん)」(国宝、南宋時代・12~13世紀)を360度から楽しめる独立の展示ケースも設置。

特別展では「油滴天目茶碗」をはじめ、江戸時代の大坂の豪商、鴻池家に伝わった「飛青磁花生(とびせいじはないけ)」(国宝、元時代・14世紀)、内面に本物の桑の葉が焼き付けられた「木葉天目茶碗(このはてんもくちゃわん)」(重文、南宋時代・12~13世紀)、丹波篠山藩主青山家伝来の「青磁鳳凰耳花生(せいじほうおうみみはないけ)」(重文、南宋時代・13世紀)など、豪華なラインアップが並ぶ。また、「油滴天目茶碗」型のコントローラーを動かすと、4Kモニターに3DCGが投影され、見たい角度で茶碗を観賞できる体験型コンテンツも登場。まるで茶碗を手に取って眺めているかのような感覚を味わえる。

エントランスホールから続く新設のカフェも特筆に値する。葉型の金箔をあしらったチョコレートムース「木葉天目」、国宝の青磁の文様がグラス越しに見える抹茶ラテ「飛青磁花生」、作品の柄を手描きしたアイシングクッキー「陶片クッキー」など収蔵品をモチーフにしたスペシャルメニューのほか、「絶品ローストビーフ丼」などの食事も提供する。

同館の小林仁学芸課長代理は、今回のリニューアルについて「今の時代に合った見せ方を考えた。特に光。改修前からLED照明を取り入れてきたが、今回さらに自然光に近い光(紫励起LED照明)を当てている。新しい光の下、作品本来の色や質感を見てもらいたい」と話した。

特別展は9月29日(日)まで。

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