前代未聞、アルファロメオ ミラノが当局からの指摘で車名を「アルファロメオ ジュニア」に変更

2024年4月15日(現地時間)、アルファロメオは4月11日に発表したばかりのコンパクトSUVの名称「ミラノ(Milano)」の使用がイタリア政府より禁止されたことを明らかにした。「ミラノ」というモデル名は一般公募の下で決定され好評だったが、アルファロメオは一般から集まったモデル名を再度見直し、新しい名称を「アルファロメオ ジュニア(Junior)」に決定した。

1966年9月に登場した「GT1300ジュニア」に由来した名称

「ミラノ」は1910年にアルファロメオの歴史が始まった都市であり、その創業年以来、アルファロメオのエンブレムはミラノ市の歴史的シンボルである十字架と貴族ヴィスコンティ家の紋章であるビショーネ(蛇)で構成されている。また、60年以上にわたって(1910年〜1972年)、エンブレムの下部には「MILANO」の名が記されていた。

また、いつの時代もアヴァンギャルドを象徴する都市である「ミラノ」は、今は先進性、革新性、持続可能な国際的象徴であり、アルファロメオ初のフルBEVも含まれる次世代コンパクトSUVの名称にふさわしいものと思われた。

それだけに今回の「ミラノ」の車名登録禁止では混乱もあったと思われるが、アルファロメオはすぐに対応し、一般から集まったモデル名を再度見直し、新しい名称を「ジュニア」に決定した。「ジュニア」という名称も有力な候補のひとつだったようで、大きな混乱なく決定したようだ。

新しくデザインされた「アルファ ロメオ ジュニア」のロゴ。

「ジュニア」という名称は、ジュリアが成功を収めた後、1966年9月に「GT1300ジュニア」として登場。「GT1300ジュニア」は、価格を抑えながら優れた性能を追求して若い顧客層を中心に人気を集めたモデルで、性能的にはGT1600ジュリアよりわずかに劣るものの、高水準のパフォーマンスとドライビングの楽しさをを発揮し、9万2000台以上の販売を記録してアルファロメオの新世代のリーダーとなった。

反応はおおむねポジティブ。感謝のコメントを発信

こうした歴史を見ると、新しい「アルファロメオ ジュニア」がステルヴィオ、トナーレの弟分にあたる次世代コンパクトSUVであるという位置づけからも、「ジュニア」は相応しい名称と言える。

パワートレーンは「イブリダ(IBRIDA:イタリア語で『ハイブリッド』の意味)」と「エレットリカ(ELETTRICA:イタリア語で『電気の』という意味)」のふたつ。、イブリダは1.2Lの3気筒 可変ジオメトリーターボエンジンと21kWの電気モーターで構成された48Vハイブリッドシステムを搭載。エレットリカは、アルファロメオ初のフルBEVとなる。

なお、今回の突然のモデル名変更について、アルファロメオは「一般からのポジティブなフィードバックやイタリアのディーラーネットワークからの支援、新型車に対する注目を集めてくれたメディア、またこの議論を起こしてくれたイタリア政府に感謝します」と、粋なコメントを発表している。

■ジャン・フィリップ・インパラート アルファロメオ CEO

「私たちは、この瞬間がブランドの歴史に刻まれることを理解しています。それは大きな責任ですが、同時にエキサイティングな瞬間でもあります。アルファ ロメオ ジュニアの名前は、ブランドの歴史に強く結びついており、始めから私たちが評価していた名前のひとつで、一般の方にも支持されていたため、その選択はととても自然なものでした。チームとして、私たちはブランドへの情熱を共有し、製品とお客様を優先させるために再度名前を選びました。名前の変更が必要ではないと分かっているにもかかわらず、私たちがそうすることを決定したのは、私たちの製品がいつもポジティブな感情を引き起こし、あらゆる種類の論争を避けるためです。過去数日間に受けた、新しいスポーツコンパクトカーへの注目には興奮しています。オンラインサイトへの訪問が前例のない件数に達し、ウェブサイトが数時間にわたってクラッシュするほどでした」

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