六朝時代の貴族墓を発見 江蘇省鎮江市

六朝時代の貴族墓を発見 江蘇省鎮江市

鎮江市・環山路六朝墓の6号墓から出土した青銅製六面印。(資料写真、鎮江=新華社配信)

 【新華社南京4月17日】中国江蘇省の鎮江市文物保護・考古研究所は9日、同市潤州区官塘橋街道でこのほど発掘された環山路六朝墓で、南北朝時代の南朝・宋(劉宋)の初代皇帝、劉裕の伯父(または叔父)にあたる趙宣之(ちょう・せんし)の墓を発見したと発表した。専門家は、六朝(三国時代の呉から南北朝時代南朝の六つの王朝)時代の埋葬制度の変遷や葬儀理念、民族移動などを研究する上で重要な実物資料になるとしている。

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鎮江市・環山路六朝墓の9号墓。(資料写真、鎮江=新華社配信)

 環山路六朝墓はインフラ整備に伴う発掘調査で発見。墓は13基あり、うち7基が東晋~南朝時期の貴族の磚室墓(せんしつぼ、磚はれんがの意)、6墓が明清時代の平民の土坑墓だった。趙宣之の墓とされた6号墓からは被葬者の身分が分かる「凸」型の青銅製六面印(6面に印文が彫られた印章)が見つかった。

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鎮江市・環山路六朝墓の9号墓から出土した金飾り。(資料写真、鎮江=新華社配信)

 同研究所の李西東(り・せいとう)副所長は「6号墓出土の六面印は確認の結果、趙宣之の個人印だと分かった。墓の年代と史料記載も一致している」と説明した。

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鎮江市・環山路六朝墓の9号墓から出土した青磁香炉。(資料写真、鎮江=新華社配信)

 李氏によると、劉宋の歴史を記した正史「宋書(そうじょ)」は趙宣之を趙裔(ちょう・えい)の長男、趙安宗の兄(または弟)としており、趙安宗は劉裕の生母、孝穆趙皇后にあたる。宣之は江乗県(現在の南京市の棲霞山南東地域)の県令を務めたという。

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鎮江市・環山路六朝墓の9号墓から出土した滑石製豚彫刻。(資料写真、鎮江=新華社配信)

 13基の墓は北西から南東の方向に並び、うち5号、6号磚室墓は保存状態が比較的良く、刀形をしていた。9号、12号磚室墓は傾斜墓道を伴う凸字形墓で大きく、高い格式を持つ。6号墓の副葬品は20点で、墓室前部の祭壇付近に点在。9号墓は破壊されていたが精巧で美しい副葬品30点余りが出土した。

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鎮江市・環山路六朝墓の配置を示す図。(資料写真、小型無人機から、鎮江=新華社配信)

 専門家によると、鎮江市の発掘調査で見つかった六朝期の墓は東晋時代のものが多く、西晋滅亡(317年)のもとになった永嘉の乱以降に北方人が南遷したことに関係するとされる。環山路六朝墓の年代は東晋から南朝初期で、被葬者には南遷した北方の名門一族が含まれる可能性があるという。(記者/劉宇軒)

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鎮江市・環山路六朝墓の6号墓。(資料写真、鎮江=新華社配信)

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鎮江市・環山路六朝墓の6号墓磚室内部。(資料写真、鎮江=新華社配信)

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鎮江市・環山路六朝墓の6号墓磚室前部で見つかったれんがの祭壇。(資料写真、鎮江=新華社配信)

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