能登半島地震「仮設住宅に入りたい」今も不足…南海トラフ地震が想定される東海地方での準備は

メ~テレ(名古屋テレビ)

元日に起きた能登半島地震から3カ月以上が経ちました。被災地では今も仮設住宅に入ることができない人が多くいます。将来、南海トラフ地震が起きるとされる東海地方は、仮設住宅の対策は十分なんでしょうか。

4月8日、石川県穴水町では、公費による住宅の解体が始まりました。 2000棟以上の住宅が全・半壊した穴水町では、1000人以上から公費解体の申し込みがありました。 一方、被害が大きかった輪島市の1次避難所では―― 輪島市門前地区にある浦上公民館では、17日現在も下水管が使えず、トイレが使えない状態です。 その輪島市には、東海地方からも支援が―― 「輪島市門前で大きなお風呂2カ所と、あと13カ所の避難所に洗濯機を設置して稼働させています」(NPO法人Vネット 川上哲也理事長)

3カ月間支援を続け、感じる課題

岐阜県高山市のNPO法人Vネットの川上哲也さん。 1月2日から石川県で支援を続け、避難所などで毎朝給水を行っています。川上さんは課題があると感じています。 「仮設住宅ができ始めています。そこに入れる人と入れない人が出てきてしまうので、うまく協調できるような関係作りもこれからは必要だなと」(川上理事長) 県によりますと、現在も輪島市では50ほどの1次避難所で、1200人以上が生活を送っています。 「もう仮設住宅に入らせてっていうことだけ。仮設住宅は1つのアパートじゃないけど、プライバシーが守られる。ゆっくり寝たいし、仮設住宅足りないです」(浦上公民館に避難する人) 「どうしてもこの辺場所がなくて仮設住宅を建てる場所がどうしてもないので、とりあえず建ってくれたらありがたいなと思ってはいます」(浦上公民館に避難する人) 輪島市では現在、約680棟の仮設住宅が完成していますが、必要な数に足りていない状況です。

三重・南伊勢町では用地が確保できず

東海3県で想定される南海トラフ地震。仮設住宅の準備は十分なのでしょうか。 三重県の南伊勢町では―― 「三重県約1000km海岸線があるが、南伊勢町が約4分の1の250kmを占める。この南海トラフ地震に関しては、いろいろな策を講じていかなければならないと」(三重・南伊勢町 上村久仁町長) 南海トラフ地震が起きた場合、38地区のうち最大で33地区が津波で浸水してしまう想定に。 「想定では600棟以上の仮設住宅が必要だが、現状、町でスペース的にできるのが400数十カ所ということでございます。見て頂いて分かるように、高台が少なくて山も急なので」(上村町長) 677棟の仮設住宅が必要になる想定ですが、建設が可能と予想される4カ所の候補地だけでは、230棟以上が不足するとされています。 「うちの町だけでは厳しいので近隣市町の協力を得ていろいろな協定を結んでいる」(上村町長) 玉城町などと避難住民を受け入れてもらう協定を結ぶなど対策をとっています。

復興に密接に関わる「仮設住宅の建設」

なぜ仮設住宅が不足するのでしょうか、専門家に聞きました。 「用地の確保が非常に難しい場所もある。建設するために資材を運んだりする必要がありますけど、道路の被害も大きくて資材を運ぶのに手間取ってしまうこともある」(専修大学 佐藤慶一教授) 一方、愛知県の渥美半島に位置する田原市では、県の被害想定に基づくと約1900棟が全半壊するとされています。 市内に約1000棟の仮設住宅を建設する計画で、さらに必要であれば、民間の土地なども含めて検討するということです。 佐藤教授は、仮設住宅の建設は復興に密接に関わるといいます。 「本来は地元になるべく残って地域で再建したいという人が当然多いと思いますから、仮設住宅をたくさん作るのが望ましい。自分が住んでいる場所が住めなくなるのは、本当に大きな生活の破壊であって、とにかく自分ごととしてみなさんに捉えていただきたい」(佐藤教授)

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