国民年金『65歳まで納付』厚労省が検証 延長しないと"給付3割減"試算も 若者は「自己防衛しないと」「NISA始めた」

「国民年金の納付期間を5年間延長して65歳までに」という案を、厚生労働省が検証することを決めた。街の皆さんはどう受け止めているのだろう。

■「お父さんには月3万しか小遣いあげません」

関西テレビ 吉原キャスター:年金の話なんですけど…
街の人 80代:年金な。(Q年金生活どうですか?)まあまあやな、やり方次第やな。お父さんには月3万しか小遣いあげません。

関西テレビ 吉原キャスター:年金はいくらぐらいもらっているんですか?
街の人 80代:2カ月で6万8000か9000円。(Q年金生活は大変?)大変。とにかく外食はしない。むだ遣いしない。その代わりカラオケは行っているけどね。ただ、それだけが生きがい。カラオケとインタビュー受けるのが生きがい。

■「何らかの調整をしないと年金制度がもたない」と専門家

現在、受け取れる額が満額でもひと月6万8000円の「国民年金」。ただでさえ厳しい額なのに、この先、さらに3割減るという政府の試算もある。そこで検討されているのは、国民年金の保険料をあと5年長く払うという案だ。

16日、厚生労働省で開かれたのは5年に一度、年金制度の改革を話し合う部会「社会保障審議会年金部会」。パートタイムで働く人なども厚生年金に入れるようにする案など5つの改革案が示され、検討に入った。

5つの改革案のひとつが、国民年金の保険料の支払いを5年延長する案。自営業の人などが加入する国民年金は現在、20歳から60歳までの40年間保険料を払う決まりだ。厚生労働省は、それを65歳までの45年間に延長した場合の案を検証する方針を固めた。 背景には、予測より早く進む少子化で、年金制度を支える現役世代が減っていることがある。

専門家は平均寿命が延びる中で何らかの対策が必要だと指摘する。

年金制度に詳しい 昭和女子大学 八代尚宏特命教授:今、寿命がどんどん延びていますから、民間の保険であっても給付をもらう期間が寿命が延びれば自動で延びますから、(公的年金も)何らかの調整をしないと年金制度がもたないですね。

■「何を言っても変わらないので、自己防衛せざるを得ない」という人も

2024年度の国民年金の保険料は、ひと月1万6980円だ。これを5年間支払った場合、単純計算で約100万円保険料を多く払うことになります。一方で、受け取る額が月に数千円増える可能性もある。

5年も長く払うことはできるのか。街で聞いてみると、反対、賛成どちらの意見も聞かれた。

反対の方は…
街の人 40代:反対。(Qこうしないと給付額が3割減るという話もあるが…) 微妙なとこ突いてくるな。もうちょっとしたら『70歳』とかになるんやろね。結局、もらう頃にはひょっとしたら死んでるかもしれへんね。

街の人 50代:今現在も働いているので、これ以上働かないといけないのかなというのはあります。年もとっていきますので、体の自由が利かなくなったりするので、ちょっと大変

一方、賛成の方も…
街の人 80代:寿命が延びてるから、65歳まで勤めるのはいいんじゃないですか。そうでなかったら時間もてあますし、かえってお小遣いとかたくさんいると思う。65歳まで勤めるのは賛成。

また、最近はこんな人も多いようで…
街の人 20代:言ってしまえばそこまであんまり期待してないからこそ、NISAとか始める人が増えているのかなって思う。(Q 実際にNISAやってます?)ちらほらぐらい

街の人 20代:同じくNISAやっていたりとか、自分の会社の持ち株とかをやってたりするんで。将来のお金として貯めておきたいなという気持ち。

街の人 50代:あてにしてないから。早めにもらって年金で資産運用しようかなと思っているので、株を買ったりとか。(Q投資の原資にする?)そうそうそう。

街の人 50代:何を言うたかて変わらないので、(将来のために)何かをせざるを得ない。自己防衛をせざるを得ないのかなと。声上げて変わるなら、声上げたいですけど、なかなかそうもいかないですから。

■「人生のゴールポストがどんどん向こうにいってしまう不透明感がある」と安藤優子さん

年金納付期間が、60歳から65歳まで5年間延びることに関して、街で聞くと反対意見が多かった。

「newsランナー」のLINEアカウントで行ったアンケートでは、「反対」が73パーセント。さらに5年間延長ということになると、人生の計画が変わるかどうか聞いたところ、「変わる」と答えた方が65パーセントいた。

街で話を聞くと、今働いていない方が納付期間が5年延びて、新たに働き口を探さなくてはいけなくなる。「私、働けるのかしら」と不安を感じている人もいた。

ジャーナリスト 安藤優子さん:いろんな要素がありすぎて、一口には言いがたいのですが、60歳まで働いて年金を支払っていけば、その後の生活は年金とプラスアルファで人生設計するのは平均的な形だと思うんです。それがやっぱり65歳まで働いて、納めて、それでももしかしたら将来的に3割減になるかもって言われると、自分の人生のゴールポストみたいなものがどんどん向こう側にいってしまう。そうすると今いくら支払えということではなく、この先もまたさらにゴールポストが向こうにいくんじゃないかという不透明感がある。だったらもらえるうちにもらいたいって思うのは当然なんじゃないかなと思いました。

街でも「(納付期間が)結局、70歳になるんじゃないか」と言う人がいた。

ジャーナリスト 安藤優子さん:一方で、65歳まで働くことは、働きたい人にとって歓迎するべき環境だと思うんです。じゃあ働き口が保障されるのか。積極的ないわゆるシニア世代といわれる人たちの雇用推進みたいなことを同時にやっていかなければだめだと思いましたね。

■「納付期間延長」を検討する一方、「在職老齢年金」見直す動きも

年金の見直しに関して、65歳まで納付期間を延長する案以外にも検討されていることがある。

関西テレビ 加藤報道デスク:『在職老齢年金』という制度があり、一定の収入がある働ける65歳以上の方の場合、現在は厚生年金が減額される制度になっているんです。その制度があることで、働き控えになっている部分があり、その制度を見直して、全額支給される制度にすることで、働ける人には働いてもらうことを促そうとしている動きもあります。

ジャーナリスト 安藤優子さん:生きがいも含めて、『働きたい』という人たちの意欲を受け止める受け皿を、同時並行的に整備して行くことがすごく大切です。そしてやっぱり65歳といっても、すごく個人差もあると思います。その個人差もきちんと勘案しないと、やはり不公平感は否めないかなというふうに思います。

皆さんが抱く不安要素や、社会情勢を政府がしっかりと見極めたうえで、しっかり検討し、見直しを進めてほしい。

(関西テレビ「newsランナー」 2024年4月17日放送)

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