JR岩徳線、半数近く「年1回利用しない」 沿線3市アンケート 団体利用アップへ運賃助成スタート

西岩国駅に到着する岩徳線の列車

 山口県岩国、下松、周南の3市を結ぶJR岩徳線の沿線住民の半数近くが年に1度も路線を利用していないことが、3市と県、JR西日本でつくる利用促進委員会のアンケートで分かった。岩徳線はJR西日本が「単独での維持は困難」とする赤字路線に当たる。利用増に向け、同委員会は今月、団体客に運賃を助成する制度を始めた。

 昨年11月、3市の沿線に住む4千人に利用の頻度や目的を尋ねるアンケートを郵送で実施し、1479人(37・0%)から回答を得た。

 利用の頻度は「年に1度も利用していない」が47・0%を占めた。利用している人のうち「週に1回以上」は7・0%にとどまり、「年数回」が69・1%で最多だった。利用の目的(複数回答可)は「買い物」36・6%、「通院」20・2%。「その他」が54・3%で最も多く、自由記述欄で会食や会合などの際の交通手段と補足している人が目立った。

 今後5年間の利用の意思も聞いた。「変わらない」が63・8%に上る一方、23・9%は「増える可能性がある」と答えた。回答者を最寄り駅別に集計した場合、学校や住宅街が周辺にある周防高森(岩国市)や大河内(周南市)など4駅の近くに住む人は、いずれも30%以上が「増える可能性がある」を選んだ。

 利用が低迷するローカル線を巡り、自治体や鉄道事業者が存廃を話し合う再構築協議会の設置規定を盛り込んだ関連法が2023年10月に施行。国は、協議会設置の対象として輸送密度(1キロ当たりの1日平均乗客数)が千人未満の路線・区間を優先する方針を示している。岩徳線の22年度の輸送密度は1071人と国の目安に近づいている。

 同委員会は17年度に設立され、イベント列車の運行などを企画してきた。今回のアンケート結果などを踏まえ、より多くの人に乗ってもらおうと8人以上の団体に運賃を半額助成する制度を始めた。1人片道400円・往復800円、1団体2万円が上限。乗降のいずれかが岩徳線の駅なら、同線とつながる山陽線を含めた利用も対象となる。

 アンケート結果について岩国市交通政策課は「定期利用の少なさが課題。バスとの接続や車から乗り継ぐパークアンドライドで利便性を向上させるなど、駅ごとの取り組みの参考にもする。利用の底上げを図る方法を考えたい」としている。同課☎0827(29)5106。

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