堤駿斗に観客「反省しろよ!」 体重超過の理由はコロナ…モレノを3回KO

モレノを攻める堤駿斗(右)

ボクシングのフェザー級(上限体重57・1キロ)10回戦(17日、後楽園ホール)でWBC同級8位・堤駿斗(24=志成)がWBA同級9位アンセルモ・モレノ(38=パナマ)に3回KO勝ちし、デビュー5連勝とした。堤は前日計量で1・6キロの大幅体重超過をしており、その理由を新型コロナウイルス感染だったと明かした。

試合は堤が義務付けられた上限61・1キロの当日計量をパスして成立。堤はWBA世界バンタム級王座を12度防衛した百戦錬磨の古豪モレノに圧力をかけ続けて主導権を握ると、左アッパーでダウンを奪い、さらに連打からの右アッパーで2度目のダウンを奪うと、片ヒザをついたモレノは立ち上がれなかった。

〝複雑な勝利〟に試合後は笑顔なし。リング上でのインタビューでは「歴史あるボクシングという競技を汚してしまい、人として未熟で成長しないといけないと思いました」とモレノ陣営、関係者、ファンらへの謝罪の言葉を繰り返し、観客から「反省しろよ!」などの声が飛ぶと言葉を詰まらせる場面も見せた。

報道陣の取材では、体重超過の理由を「全部言い訳になってしまいますが…」と前置きしたうえで、約3週間前に終えた米国合宿の終盤に新型コロナウイルスに感染して帰国し、その後遺症で肺にダメージが残ってしまったことなどが説明した。

症状が治まってからもスパーリングなどの激しい運動ができず、医師からは欠場を勧められたが、メインイベントであり、2戦前にインフルエンザ感染で試合をキャンセルしたこともあって出場を決意。だが、運動で汗を流すことなどができず、体重を減らすことはできなかったという。

JBC関係者によると、堤にはライセンス停止6か月の処分が下される方向。今後について堤は「階級を変えざるを得ないという心境ですが、ゆっくり考えたい」といい、所属ジム関係者は「本人次第」と語った。アマチュアで日本初の世界ユース王者となるなど輝かしい実績を引っ提げてプロ入りしたホープは、復活できるだろうか。

© 株式会社東京スポーツ新聞社