被災地に「元気届けたかった」 熊本地震8年の節目、ツアー初優勝の竹田(合志市出身) 女子ゴルフ・バンテリンレディス

ツアー初優勝を果たし、インタビューに答える竹田麗央=14日、菊陽町の熊本空港CC(谷川剛)

 熊本地震の前震から8年目の節目となる14日。菊陽町の熊本空港CCで行われた女子プロゴルフツアー第7戦「KKT杯バンテリンレディス」で、合志市出身の竹田麗央(21)がプロ初優勝を達成した。「(優勝で)ずっと熊本のみんなに元気を届けたかった」との思いがかなった。

 2016年4月14日午後9時26分。合志中1年だった竹田は、翌日に開幕する「バンテリン」にボランティアで参加するはずだった。自宅で準備していると、突然の大きな揺れに襲われた。「怖かったのは今でも覚えている」

 自宅に大きな被害はなかったが、大会は中止に。竹田は数日間、家族と一緒に近所の公園で車中泊を強いられた。しばらくはクラブを握る余裕もなかったという。「大好きなゴルフができずかわいそうだった」と母の哲子さん(55)。それでも竹田は苦境を乗り越えて実力を伸ばし、21年にプロテストに合格するまでに成長した。

 プロになってからも被災地への思いは忘れなかった。今大会、猛チャージで3位に浮上した2日目には、報道陣に「(被災者の)みなさんを勇気づけられるプレーを」と誓っていた。

 そして最終日。竹田は、会場に駆け付けた熊本のファンに背中を押されるようにスーパープレーを連発した。優勝を見届けた哲子さんは「逆に麗央が熊本の人たちから元気をもらっていた」と感謝。父の宜史さん(50)も「皆さんの力になれて麗央もうれしいはず」と目を細めた。(萩原亮平、廣瀬紗知)

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