アメリカパビリオン、スポンサーに大阪IR運営法人が参加「日米関係、一層強める」大阪・関西万博

起工式後のレセプションで乾杯する自見万博担当大臣、吉村大阪府知事、横山大阪市長、エマニュエル駐日米国大使ら<2024年4月17日午後 大阪市北区>

アメリカは17日、万博の会場となる人工島、夢洲(ゆめしま / 大阪市此花区)で起工式を行った。さらに同日、大阪・関西万博に出展するパビリオンのスポンサーとして、ラスベガスに本社を置く「MGMリゾーツ・インターナショナル」と基本合意書を交わしたと明らかにした。

建設にかかる費用は、概算で2500万ドル(日本円で約37億円)とされている。パビリオン諸経費として、アメリカ連邦議会でこの種の予算として初めて計上された。

【画像】大阪・関西万博 アメリカパビリオン起工式・レセプション

大阪府・市ではカジノを含む統合型リゾート(IR)の開業が2030年に見込まれており、 同社の日本法人とオリックスを中核株主とする大阪IR株式会社が運営事業者となっている。

テーマは、”Imagine What We Can Create Together”(共に創出できることを想像しよう)。来場者が人類の英知を前進させる未来を思い描けるような空間を創る。
パビリオンは、つつましさや趣(おもむき)という日本特有の美意識「わび・さび」から着想を得た木製のファサードと、三角形の平面をもつ2棟の建物で構成されている。

それぞれの棟の間にはライトアップされた吊り下げ式のキューブが配置され、この下をくぐりぬけると、開放感に包まれた美しい中庭が広がり、多様なパフォーマンスが行われるステージが設置されている。
そして、向かい合う2棟の内側にはそれぞれ大型LEDスクリーンがあり、そこにアメリカを象徴するイメージやムービーが映し出され、「峡谷」のような空間をつくる。

パビリオンはこうして来場者をアメリカ探検へといざない、 ハリウッド映画の技術を使った宇宙旅行も疑似体験できるという。内装には、アメリカ航空宇宙局(NASA)も関わる。
このほか、アメリカの音楽や郷土料理を楽しむ空間も設ける。

設計は、ニューオーリンズを拠点に活動するトレイハン・アーキテクツ(Trahan Architects)。着工は5月の大型連休明けに予定され、10月をめどに建物の主要な工事を終えるという。

パビリオンのデザインと資材は、持続可能性を重視し、建設に使われる鉄骨と引張布は、東京オリンピックなどのイベントで建てられた仮設構造物からの再利用となる。これらの資材は万博閉幕後にリサイクルされ、別のイベントで使用されるという。

この日、エマニュエル駐日大使は「開幕後は約3000万人が会場を訪れ、ともに未来を探検し、平和的な共存を考える機会になる」と述べた。

4月、岸田文雄首相が国賓としてアメリカを訪問し、バイデン大統領との首脳会談で、両国関係がインド太平洋地域を越えた「グローバルなパートナーシップ」とする共同声明に合意したことや、アメリカが主導する国際月面探査「アルテミス計画」で、日本人2人が月面に着陸することになった。
このように日米協力が深まるなかでの万博について、エマニュエル大使は「非常に時宜にかなっている。日米関係を一層強める機会だ」と語った。

1970年大阪万博のアメリカパビリオンでは、アポロ12号がその前年、1969(昭和44)年に世界初の月面着陸を成功させ、持ち帰った、重さ約900グラムの「月の石」が展示された。
待ち時間が4時間以上という長蛇の列ができ、のべ約1400万人が見学するほどの人気だった。

今回の展示やプログラムについて政府関係者は、「宇宙に関する展示や、ハリウッドの特殊効果を使った没入感のある展示を企画している。具体的には今後明らかにしたい」と話した。

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