能登出身アーティストが個展 願い込めたうわぐすり【長野市】

能登半島地震で被災したアトリエで作品を生み出す、現代美術家の個展が長野市で開かれています。独自に生み出した「赤」が輝く空間です。

透明感のある赤い球体は太陽を表現しています。
「ながの東急百貨店」で開かれている石川県能登出身の現代美術家・中村元風さん(68)の個展。「輝き」をテーマにおよそ80点のセラミック作品が展示されています。

■現代作家・中村元風さん
「これは太陽系のように真ん中に太陽があって、その周りを地球だとか火星だとか木星だとかが回転をしているような展示をしています」

作品に使われているのは、鮮やかな赤色のうわぐすり。高温で焼くと発色が鈍くなるため、従来は光沢のない赤が常識とされていました。
科学者でもある中村さんが研究におよそ26年かけ、東日本大震災の当日に開発。
復興への願いを込め、「希赤(きせき)」と名付けました。

■東御市から
「素晴らしいね」
「写真では見せていただきましたけれど、本物見ると感動します」
「輝きが違うからね」

こちらの作品は、貴金属やレアアースが使われ、光をあてると、様々な色が現れます。

■現代作家・中村元風さん
「人間にとって一番大事なのは輝くこと、輝きだと思います。作品が輝く、それを見た人が輝く、それがテーマです」

中村さんが自宅兼アトリエを構えるのは、能登半島地震で震度5強を観測した石川県加賀市。制作途中の作品が数十点、棚から落ちて割れてしまったといいます。

■現代作家・中村元風さん
「3.11の時は被災者ではなかったんですけど、日本全体が暗い時代でしたね、原発問題もあって。それをこう何とか明るくしようと思ってこの「希赤(きせき)」の赤を作り始めたんですけど、今回自分が被災者になって、これって本当に大事なことだなということを実感しました」

個展は23日まで開かれていて、入場は無料です。

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