いわきの鳥瞰図、後世に 画家・故鈴木百世さん作品、図書館に寄贈

鈴木さんが手がけた「常磐炭田」の鳥瞰図。炭鉱の名称と共に原案には鈴木さんのメモとみられる文言も並んでいる

 いわき市の図案家・画家の故鈴木百世(ももよ)さんの孫で同市の久保木清江さん(62)は、いわき総合図書館に鈴木さんの遺作集など174点を寄贈した。昭和初期に手がけられた市内各地の「鳥瞰(ちょうかん)図」をはじめ、菓子や酒のパッケージなど郷土資料として貴重な作品で、久保木さんは「末永く保管してもらい、多くの市民に見てもらいたい」と話す。

 鈴木さんは1901年に同市平に生まれた。東京府豊島師範学校(現東京学芸大)で美術を学んだ。10年間教職を務めた後、35年に帰郷したという。図案社を開き、42年に亡くなるまで商品パッケージの制作をはじめ、上空から斜めに見下ろしたように描く「鳥瞰図」などを数多く手がけた。「常磐炭田鳥瞰図」では、「磐城炭鉱」「磐城炭鉱長倉坑」などと記され、炭鉱の町として栄えた様子がうかがえる。

 久保木さんの母が昨年亡くなり、実家の整理をした際に、鈴木さんの作品が数多く見つかった。元市役所職員で、10年ほど前に亡くなった久保木さんの父が遺作集として70年近く保存していたもので「市の発展や未来のために役立つのであれば父も喜ぶ」と寄贈を決めた。

 久保木さんへのお礼状贈呈式が16日、図書館で行われ、矢吹敬直館長が久保木さんにお礼状を手渡した。図書館は、展示会などを企画する方針。

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