ベビーケアルームmamaroで起業したTrim:長谷川社長の想いと、VCも注目する理由

mamaroという商品名で、4月1日時点で累計設置台数:639の実績を残している「ベビーケアルーム」がある。乳幼児を伴って外出した母親が、1畳ほどのスペースで「授乳やオムツ交換」などが可能。商業施設や公共施設をはじめ、東海道新幹線の駅内や東京ドームなどにも設置が進んでいる。移設が可能。工事不要。

そんなmamaroを展開するTrim(株)から、【屋外設置可能な個室型ベビーケアルーム『mamaro solana』が2024年4月から予約開始!~“子育てファミリーの“あったらうれしい”に応えて開発~】と題するリリースが届いた。広報担当者は今回の新しい展開を、こう説明した。

「既にmamaroを設置している商業施設や公共施設、子育てファミリーからの要望に応える形で実現した。前者(既に設置していた施設)からは、スペースに限りがあるので屋外型の併設が望ましいという声。後者からは、公園のような屋外施設で子供と遊んでいる際の授乳やオムツ交換は駐車場に戻り、ケープで赤ん坊を隠し車の中で行うが落ち着いてできないといった声が上がっていた。そこで約2年の開発期間・実証実験を経て今回、屋外型のmamaroを世に問うことになった」

Trimの設立は2015年11月。昨今の立ち上げ事業・ニュービジネス事情に詳しいアナリストは、「ベンチャーキャピタルも関心を寄せている1社」とした。

実証実験を経て17年末の、自動車販売店の採用から具体的な歩みを開始している。そもそもどんな経緯でTrimは興されたのか。

創業者社長の長谷川裕介氏の前職は医療系ベンチャー企業勤務。勤務先の企業が「授乳室おむつ交換台検索アプリ」事業を立ち上げた。それを買い取り起業した。長谷川氏の起業の背中をどんと押したものは何だったのか。長谷川氏はこんな風に語っている。

「自分は母親を早く亡くした。恩返しができなかった。その分を世の中のお母さんたちにしたいと思った」

「授乳室の有無がアプリで分かる一方で、多額の工事費とスペースが必要。利益を生みづらい授乳室の整備の優先順位は高くない。必要性があっても増えないという現実があった。そこでアプリでなく、施設として設置しやすく母・子のプライバシーが守られ利用できるスペース作りに着地した。ゼロから設計した製品がベビーケアルームmamaroだった」

先のアナリストは「mamaroを介して商業施設や公共施設と絆を結んでいる。新たなビジネスが生み出される可能性も高い」とした。

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