白きくらげで「水」を補って乾燥を防ぎドライマウスを改善【健康長寿に役立つ高齢薬膳】

白きくらげの潤いデザート(C)日刊ゲンダイ

【健康長寿に役立つ高齢薬膳】白きくらげ

最近、口の中がやたらと乾く。食べものが飲み込みづらいし、話しづらい……。シニアに多くみられるトラブルが「ドライマウス」です。正確には「口腔乾燥症」といわれ、唾液の分泌が減って口が乾燥した状態のことを指します。

唾液は、飲む、食べる、話すなど口の働きをサポートする重要な働きを担っています。そのため、ドライマウスの症状としては、口が乾いたりねばつく、ものが食べづらい、飲み込みづらいといった症状が見られます。また、唾液には抗菌作用があり、口内の雑菌繁殖を予防しています。唾液の量が減ると口臭がひどくなったり、歯周病や虫歯が悪化しやすくなるケースもあるのです。さらに、入れ歯が合わなくなる、入れ歯で口の中を傷つけやすくなることも。

ドライマウスの原因の多くは、加齢によるものとされています。体液量が低下したことによって起きる唾液分泌量の減少、唾液腺の機能低下、ものを噛む力の衰えによる唾液量の低下が挙げられます。そのほか、常用している薬剤の副作用、精神的な緊張やストレス、糖尿病、腎臓病などの病気が関係している場合もあります。

ドライマウスは病気ではありませんが、食事や会話の際にストレスがかかり、生活の質を下げる大きな原因になります。また、歯周病など口の中の健康を損ねるとともに、感染症や誤嚥性肺炎のリスクも高まります。放置せずに早めの対処を心がけましょう。

中医学においては、ドライマウスは体内の「水」が不足して引き起こされると考えます。水は、血液以外のあらゆる体液を指し、胃液や唾液など身体の中で分泌される液体で、皮膚、目、口、鼻、耳、舌、喉などに潤いを与え、関節や骨髄にも入って動きをスムーズにします。水の不足は口の中の乾燥を引き起こし、当然ながら顔をはじめ全身の皮膚も乾燥させてしまいます。腸が乾燥して便秘になる場合もあります。

また、水は体内を潤わせて、余分な熱を下げる働きもあります。そのため、不足すると体に潤いがなくなり、暑がり、のぼせる、手足がほてるといった症状も見られがちです。

改善のためには水を補う食材を取り入れることが大切です。おすすめは白きくらげ。あまりなじみがないかもしれませんが、中国では「銀耳」と呼ばれ、不老長寿の食材とされています。水を補い、乾燥を改善する優れた働きがあり、口の中をはじめ全身を潤わせます。咳や喉の痛みなど呼吸器系トラブルの改善にも役立ちます。

また、白きくらげは美肌に絶大なパワーを誇る食材でもあります。70歳を過ぎても10代のような肌を保ったという西太后や、かの楊貴妃が欠かさずに食べていたといわれています。肌にたっぷりと潤いを与えて乾燥を防ぎ、シワの改善に威力を発揮するのです。さらに、ホルモンバランスの調整にもよく、更年期の女性にもおすすめです。

白きくらげの調理は、黒きくらげ同様、乾燥品を水で戻して加熱すればOK。クセがないので、サラダ、スープ、炒め物などに幅広く使えます。デザートに使うのもおすすめです。ハチミツなどで甘みをつけ、フルーツ、ヨーグルトなどと一緒にどうぞ。また、じっくり1時間程度とろとろになるまで煮込むと、もっちり、とろりとした食感になり、より美味しくなるので、ぜひお試しください。

白きくらげのドライマウス改善効果を高めるには、同様に体内に潤いを与える、ヨーグルト、牛乳、豆乳、豆腐、松の実、ハチミツなどと組み合わせるとよいでしょう。

また、老化をつかさどる「腎」とよばれる臓器の働きが衰えると、関係が深い「唾」に不調が現れやすくなります。腎を強化するクコの実、黒豆、ブドウなどを合わせて取り入れるようにするとよいでしょう。

■白きくらげ高齢薬膳レシピ

白きくらげの潤いデザート

体内に潤いを与える白きくらげと、同様の働きを持つヨーグルト、ハチミツ、腎の働きを強めるクコの実を組み合わせたレシピ。美肌にもおすすめ。煮込んでプルプルになった白きくらげとヨーグルトの相性はぴったりです。

【材料】2人分
●白きくらげ(乾燥) 4g
●ヨーグルト、クコの実、ハチミツ 適量

【作り方】
白きくらげはたっぷりの水に30分程度ひたしてもどす。鍋に白きくらげ、水4カップを入れて加熱し、沸騰したら40分~1時間程度とろりとするまで煮る。器に盛り、ヨーグルト、クコの実をのせ、ハチミツをかけて食べる。

(池田陽子/薬膳アテンダント・食文化ジャーナリスト)

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