ソニー、“4本スピーカーでサラウンド”が薄型化。「HT-A9M2」

by 酒井隆文

スピーカーが四角形になった「HT-A9M2」

ソニーは、4本のワイヤレススピーカーでサラウンド環境を構築するホームシアターシステム「HT-A9M2」を、6月1日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は33万円前後。従来モデルでは円筒状だったスピーカーが、薄型の四角形になったのが最大の特徴。

あわせて発表されたサウンドバー「HT-A9000」と「HT-A800」、ワイヤレスネックバンドスピーカー「HT-AN7」については、別記事で紹介する。

また、これら4製品には「ブラビアとの親和性強化・セット利用促進のため」に、「BRAVIA Theatre」というマーケティングネームも導入されており、HT-A9M2は「BRAVIA Theatre Quad」と名付けられている。

サウンドバーのような1本の横長のバースピーカーではなく、4つのスピーカーとコントロールボックスをセットにした製品。各スピーカーとコントロールボックスはワイヤレスで接続できるが、スピーカーはバッテリー非搭載のため、それぞれに電源ケーブルが必要となる。

iPhone 13 Proと並べたところ

従来モデル「HT-A9」では円筒状のスピーカーだったが、HT-A9M2では「リビングに溶け込む」という、薄い四角形に変更され、壁寄せ・壁掛けにマッチしやすいフォルムとなった。従来はパンチングメタルだったスピーカーグリルも、ファブリックに変更されている。

各スピーカーは3ウェイ構成となった

ドライバー構成も変更されており、従来はツイーターとウーファーの2ウェイ構成だったが、新型ではミッドレンジドライバーを追加した3ウェイ構成。4本合計のユニット数も12基から16基となった。口径はツイーターが19mm、ウーファーが85×85mmのX-Balanced Speaker Unit、ミッドレンジが60mm。

スピーカー上部にはイネーブルドスピーカーも搭載

36×79mmのX-Balanced Speaker Unit採用イネーブルドスピーカーとバスレフポートも備え、立体音響を楽しめる「360 Spatial Sound Mapping」も利用可能。アンプはS-Master HXで、総合出力は504W。

付属の台置きスタンド兼用の壁掛けブラケットを使ったところ
壁掛け時に、壁とスピーカーの間に隙間が生まれるようになっている

台置きスタンド兼用の壁掛けブラケットが付属。壁掛け時にブラケットを使うことで、壁とスピーカーの間に隙間が生まれるようになっており、壁への振動を低減できる。ブラケット自体も出力の大きいウーファーに近い位置でネジ固定する仕様のため、スピーカー自体の振動も抑制できる。

アプリで視聴位置を識別子、その場所にあわせて音場を最適化できる

スピーカーの設置位置に応じた音場最適化や、スマホアプリ「Sony | BRAVIA Connect」を使った視聴位置に応じた最適化が可能。アプリからワンタップでユーザーの視聴位置を識別し、その場所に音場を最適化できる。

さらに部屋の家具やカーテンなど音響特性に影響のある状態を検知でき、部屋の音響特性に応じた最適化も可能となった。これにより「試聴室のような理想的な音響特性に最適化できる」という。別売りのサブウーファー「SA-SW5/SA-SW3」とも連携可能。

地上デジタル放送やYouTubeなどのステレオ音源を立体音響化して楽しむこともできる。リモコンから「サウンドフィールド」をオンにすると、ステレオ音源を立体音響化するリアルタイム分析が利用できるほか、AI解析を用いた音声抽出も使用できる。

コントロールボックス

受信用アンテナが2本に増えたほか、空き周波数帯への切り替え機能も搭載し、接続安定性も強化された。電波干渉をモニタリングしつつ、干渉を検知した場合は自動で空き周波数帯にチャンネルがホッピングする。

付属リモコンは10キーのシンプルなデザインとなり、電源や入力切替、音量調整など日常の操作でよく使う項目を操作できる。より詳細な設定などはアプリ「Sony | BRAVIA Connect」を利用する形で、設置時にはセットアップガイドも利用できる。

入出力はeARC対応のHDMI 2.1が各1系統で、VRRやALLMにも対応する。対応フォーマットはDolby Atmos、DTS:X、360RA、ハイレゾ。そのほかLAN端子、Sセンター出力も備える。

Bluetooth受信もでき、コーデックはSBCとAAC、LDACをサポート。Spotify ConnectやApple AirPlay 2も利用できる。

外形寸法は、スピーカーが289×55×275mm(幅×奥行き×高さ/スタンド除く)、コントロールボックスが160×160×56mm(幅×奥行き×高さ)。

音を聴いてみた

短時間だが、Dolby Atmosのデモ映像や映画「トップガン:マーヴェリック」などを視聴して音を聴いてみた。Dolby Atmosのデモ映像は、鳥のさえずりや虫の鳴き声が聴こえる森の中を歩いたり、川のせせらぎが聞こえたり、雨や雷の音が聞こえてくるというもの。4本のスピーカーを使うHT-A9M2では、実際に森の中にいるような臨場感で聞こえ、周囲を飛ぶ鳥の羽ばたき音がクリアに聞こえてきた。

映画「トップガン」では終盤の第5世代戦闘機とのドッグファイトシーンを視聴。セリフがクリアで聞き取りやすいほか、操縦桿を操作する「カチャッカチャッ」という音や、敵の機銃が機体に当たる甲高い金属音もしっかりと聴き取ることができた。

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