湯河原の殺人・放火事件9年 神奈川県警が駅利用者らに情報提供呼びかけ「ささいなことでも」

県警が配布したチラシ。不審な人物の特徴などが記されている

 神奈川県湯河原町宮下で2015年4月21日、住宅の焼け跡から住人の女性=当時(66)=が遺体で見つかった殺人・放火事件は、未解決のまま発生から9年を迎える。県警は19日、JR湯河原駅前でチラシを配り、情報提供を呼びかけた。

 小田原署捜査本部は、事件当日の朝に同駅の防犯カメラに映った身長約170センチで黒のリュックサック、青のチェック柄の手提げ袋を所持していた人物が何らかの情報を知っているとみて行方を捜している。

 同本部はこれまでに捜査員3万4535人を投入。現場周辺の9699世帯、1万1696人(数字はいずれも延べ数)から話を聞くなどしたが容疑者の特定につながる有力な情報は得られていない。昨年の情報提供は2件だった。

 19日朝は、署員と捜査1課員の計約20人が不審人物の画像と動画を閲覧できるQRコードなどを記したチラシ約千枚を配り、駅利用客らの情報提供を募った。

 永野進署長は「被害者、遺族の無念を晴らすため、信念と執念を持って捜査している。ささいな情報でも気づいたことは情報提供してほしい」と呼びかけた。

 火災は15年4月21日午前6時ごろに発生。焼け跡の寝室から額に包丁が刺さった状態で女性の遺体が見つかった。死因は脳挫滅で、複数の切り傷や刺し傷のほか、鈍器で殴られた痕もあった。殺害後に放火されたとみられる。

 情報提供は同本部電話0465(32)0110。

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