約2年間の改修工事を終え、4月12日にリニューアルオープンした中之島の「大阪市立東洋陶磁美術館」(MOCO)。開放感あふれるガラス張りに生まれ変わったエントランスや新設されたカフェ、さらにリニューアルオープン記念特別展「シン・東洋陶磁 MOCOコレクション」の内覧会に参加してきました。
開放的なエントランスでより来館しやすい雰囲気に
リニューアルの目玉は、美術館の顔ともいえるエントランスホールの増築。堅固な印象からスタイリッシュで開放的な雰囲気に一新されました。「入りづらい環境ではなく、みなさまが気軽にお越しいただける美術館づくりを目指しました」と、館長の守屋雅史さん。自然光がたっぷり入る明るさが印象的。ホール内からも川や緑、歴史的建造物から高層ビルまで、中之島らしい景色が望めます。
▲「美術品の鑑賞の仕方は人それぞれ! 自分の感性で楽しんでください」と話す、守屋さん。貴重な品物が多い同館ですが、鑑賞のハードルがぐっと下がりますね
また、白を基調にしたオシャレなカフェ「キトナリ」にも注目。大阪市中央公会堂を見ながら、お茶やスイーツ、軽食がいただけます。あいにく試食はできなかったのですが、メニューも所蔵品をモチーフにしたドリンクやスイーツが用意されているそうです。
▲右側の白いパンナコッタ(1000円)は、「白磁刻花」という作品がモチーフ。上に食用フレーバーバブルがのっていて、はじけた瞬間ふわりとスモークが広がります
所蔵品約5700件の中から約380件を選りすぐって展示
9月29日(日)まで開催中のリニューアルオープン記念特別展「シン・東洋陶磁─MOCOコレクション」では、同館所蔵の約5700件の美術品の中から、安宅コレクション、李秉昌(イ・ビョンチャン)コレクションを中心に、珠玉の約380件を展示。国宝から現代陶芸まで、幅広く鑑賞できます。「自然採光展示室」や自然光に近く陶磁器本来の魅力が引き出される新しいLED照明を導入し、光にもこだわりが。
難しいことは分からなくても、感性を刺激する展示の数々に思わず見入ってしまいました。上から見たり、横から見たり、見る角度によって味わいが変わるのも面白いところ。印象に残った作品をいくつか紹介します。
▲国宝「油滴天目茶碗」 南宋時代 12~13世紀 建窯 住友グループ寄贈(安宅コレクション)
本物は専用展示ケースの中ですが、「体感!国宝 油滴天目茶碗」のコーナー(映像ルーム)では、超高精度3Dレプリカによる茶碗型コントローラーで、国宝に触れたような体験ができます。自分で動かすことができるので、360度好きな角度から鑑賞OK!
▲重要文化財「法花花鳥文壺」 明時代 15世紀 住友グループ寄贈(安宅コレクション)
▲茶葉末釉双耳方形瓶(「大清乾隆年製」銘) 清時代・乾隆(1736~1795) 景徳鎮窯 住友銀行寄贈
▲黒釉刻花牡丹文梅瓶 北宋~金時代 12世紀 磁州窯系 住友グループ寄贈(安宅コレクション)
▲「2フィート・トール・ダンゴ」 1999年 金子潤 寺岡敬子氏寄贈
随所に登場する新キャラクターとミュージアムショップも要チェック
館内で目にする、このキャラクター。名前は「mocoちゃん」。てっきりネコかと思いきや、トラなんだそう。同美術館の新キャラクターとなったのは2024年、令和ですが、生まれは18世紀の朝鮮半島。どういうことかというと─。
▲「青花虎鵲文壺」 朝鮮時代 18世紀後半 住友グループ寄贈(安宅コレクション)
いました! mocoちゃんのモデルになった作品です。見れば見るほどネコですが、トラは朝鮮半島で「霊獣」として信仰され、あがめられてきたそう。縁起のいいネコ…ではなくトラなのですね。
展覧会の後のお楽しみ、ミュージアムショップもリニューアルされました。美術館のオリジナル商品は個性があったり、ほかでは手に入らないデザインだったり、思わず財布のひもが緩みがち。ぜひチェックしてみてください。
▲国宝などがプリントされた「オーガニックコットンポーチ」(950円)
▲マットな質感とくすみカラーがカワイイ「ポケットサーモボトル 130ml」(各2100円)
ほかにも、コットンバッグやクリアファイル、ポストカード、図録など、さまざまな商品がありました。
美術展で心を豊かにし、ミュージアムショップで思い出を持ち帰り、カフェでくつろぐ…。中之島を訪れたならぜひ立ち寄りたいスポットの誕生です!
大阪市立東洋陶磁美術館
住所 大阪市北区中之島1-1-26(京阪なにわ橋駅すぐ)
開館時間 午前9時30分~午後5時(入館は4時30分まで)
休館日 月曜(祝日の場合は翌日。※4月30日は開館)、年末年始、展示替え期間
入館料 一般1600円、高大生800円
TEL 06-6223-0055