原発事故めぐる避難者訴訟 控訴審判決 東電に賠償命令も国の責任認めず 弁護団「不当判決」【新潟】

東電に賠償命令も国の責任認めず 19日・東京高裁

福島第一原発事故による県内への避難者らが、東京電力と国に対し損害賠償を求めている裁判の控訴審判決が言い渡されました。一審に続いて国の責任は認めず、東電に対してのみ賠償が命じられました。

この裁判を巡っては、2021年の1審判決(新潟地裁)は国の責任を認めず、東電に対し一部の原告のみへの賠償を命じ、東電と原告約790人が控訴しました。
控訴審は去年10月に結審。その後、国の避難指示区域内から避難していた原告155人は、一定の賠償と合わせて国に対する訴えの取り下げを条件に1月に和解しました。

残る原告約630人は、1審の賠償額(大人1人あたり約23万円)に加えて、1人あたり300万円上乗せするよう訴え、一方の東電は「すでに十分に賠償している」、国は「事故は想定外だった」と主張していました。

迎えた19日の判決。東京高裁の木納敏和裁判長は「仮に国が規制権限を行使していたとしても、原発事故が発生していた可能性が相当にある」として一審同様、国の責任は認めませんでした。一方で、東電に対しては「原告らは事故によって避難を余儀なくされた」として、損害賠償を命じました。
しかし賠償額は、大人1人あたり約28万円で1審からの上乗せ額は、5万円あまりに留まりました。

■遠藤達雄弁護団長
「(増額は)微々たるもので、こちらが本来求めている損害からすれば取るに足らない金額ではあるが、後退はしなかったという程度の評価しかできない。基本的には不当判決だと言わざるを得ない。」
■福島県郡山市から新潟市に避難原告 磯貝潤子さん(50)
「国の大きな壁は越えられないんだなって。いつ認めてもらえるのかなっていうのはまだ残っているので、本当はもう悔しいからもう1回やりたいと思う気持ちもある。」

弁護団は希望する原告については、「最高裁へ上告して最後まで戦っていきたい」としています。

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