能登半島沖の活断層 想定規模・位置など前倒しで公表へ 今年夏ごろめど

政府の地震調査研究推進本部は、能登半島沖の活断層で想定される地震の規模などの評価結果を前倒しして今年夏ごろまでに公表する意向を示しました。今後、石川県の被害想定にも反映される予定で、四半世紀の間、見直しが行われてこなかった活断層の評価が大きく前進することになります。

石川県庁では19日、県防災会議の震災対策部会が開かれ、金沢大学の平松良浩教授が、能登半島地震で沖合にある複数の活断層が連動したとして、断層の評価を見直すべきだと訴えました。

政府の地震調査研究推進本部は、近畿から北陸にかけての海域にある活断層の長期評価を進めていますが、今回の地震を受けて、能登半島沖については、活断層の位置や形状、地震の規模などの評価結果を今年夏ごろまでに公表したいとしました。

活断層の長期評価は、将来起こる地震の被害を想定する重要な判断材料で、来年春に取りまとめられる県の被害想定にも盛り込まれます。

被害想定をめぐっては、石川県が去年、25年ぶりに見直しに着手し、元日の地震を踏まえ、今後は帰省客や観光客が多い正月・ゴールデンウイークなど個別のケースも考慮することにしています。

Q. 見直しで何が変わる?

これまでの被害想定は、金沢の中心部を通る森本富樫断層帯や、邑知潟断層帯など10本の断層を対象としていました。能登半島の沖合をみると、いくつかの断層に分けて地震が起こると考えられていましたが、元日の地震では長さ100キロ程度の断層帯が連動して一気に動きました。そこで政府は連動した場合の地震の規模などを前倒しして発表することになりました。

Q. 被害想定はなぜ見直されてこなかった?

これまでの被害想定は1995年の阪神淡路大震災を受けて作られましたが、断層の評価には長い年月がかかるため、見直しがなかなか始まりませんでした。ただ近年、東日本大震災や熊本地震、そして今回の能登の地震など、たくさんの研究データが集まってきています。専門家も、今後はどの県にも負けない「最新の被害想定」が作られるのではないかと期待しています。

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