【U-23】1次L突破も…2度ゴール取り消し MF川崎颯太「もどかしい気持ちが多かった」

勝利に貢献したMF川崎颯太

大岩ジャパンが〝中東の笛〟を乗り越えて1次リーグ突破だ。U―23日本代表は20日、パリ五輪アジア最終予選を兼ねるU―23アジアカップ(カタール)の第2戦アラブ首長国連邦(UAE)戦で2―0と快勝し、開幕2連勝で決勝トーナメント進出を決めた。相手有利の判定が続く厳しい展開でも、日本の若きイレブンは最後まで冷静さを失わず難敵を圧倒した。

中東開催で相手はUAE。試合前から誰もが抱いた嫌な予感は、現実のものとなった。

序盤から圧倒的に攻め込む日本は、前半27分にDF木村誠二(鳥栖)のゴールで幸先よく先制。しかし、その後に重苦しいムードが漂う。

同アディショナルタイムに、MF川崎颯太(京都)が右サイドからドリブル突破すると、ペナルティーエリア内に侵入したところで後方から相手に倒されてPKを獲得。しかし、ビデオアシスタントレフェリー(VAR)が介入し、最後は主審が判断するオンフィールドレビュー(OFR)の結果、判定が覆りPKが取り消された。

後半16分には、こぼれ球を拾ったDF大畑歩夢(浦和)が左サイドから低いクロスを送ると、ゴール前に走り込んだFW荒木遼太郎(FC東京)の足をかすめながら、ボールはそのままゴールへ。待望の追加点かと思われたが、またもVARからOFRを経て、一つ前のプレーで大畑がオフサイドを取られ、ゴールが取り消されてしまった。

その他にも、UAEに〝忖度〟するような判定が連発。後半5分にDFアルメンハリがボールを奪われた際、MF山本理仁(シントトロイデン)に背後から足裏が見える形で遅れてタックル。一歩間違えれば大ケガにつながる危険なプレーだったが、退場とはならず警告にとどまった。直後の同8分には、そのアルメンハリにFW藤尾翔太(町田)が背後から倒されるも警告はなし。2回目の警告で退場と思われた場面だけに、藤尾は右手で「2」を示して主審に詰め寄った。

中継したNHKで解説を務めた元日本代表MF福西崇史氏は判定に疑問を投げかけ、X(旧ツイッター)でも「中東の笛」がトレンド入り。ネット上ではファンやサポーターから「久々に露骨」「審判の質は最低」などと怒りの声が上がった。

この試合は主審と副審がタジキスタン、VARはウズベキスタン、アシスタントVARはクウェートの審判が務めた。主審や副審などは中東ではないが、相手や開催地も踏まえると〝中東の笛〟という印象を与える試合になった感は否めない。判定に泣いた川崎も試合後に「取り消されたりで、もどかしい気持ちが多かった」と複雑な心境をのぞかせた。

それでも選手は中東の洗礼に動じず、川崎が後半21分に追加点を奪い、守備陣も見事に完封。大岩剛監督は「非常に大きな1勝」と会心の表情を浮かべた。勢いに乗る大岩ジャパンが22日の韓国戦で首位通過を狙う。

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