幕末・明治期の日本を手彩色写真で 特別展「Colorful JAPAN」 神戸市立博物館

2069「CHERRY BLOSSOMS AND JINRIKISHAS」日下部金兵衛 明治時代中期~後期 東京都写真美術館蔵 (通期展示)

幕末から明治にかけて撮影された日本の名所や風俗の写真に彩色し、東洋の神秘「JAPAN」のイメージを作り上げた手彩色写真と関連資料を集めた特別展「Colorful JAPAN-幕末・明治手彩色写真への旅」が、神戸市立博物館で開催されている。2024年5月19日(日)まで。

【写真】「手彩色写真を写真で見る!」

幕末に日本が開国されると、それまで日本と交流のなかった多くの外国人が日本を訪れるようになった。そんな彼らの目に日本の姿・文化は新鮮に映ったと想像され、名所や風俗を映した写真が土産物として販売された。幕末から明治にかけての頃、カラー写真は実用化されておらず、写真館では1点1点に彩色し、カラー写真と見紛うような「手彩色写真」に仕上げられた。巧みな構図と美しい彩色は、東洋の神秘「JAPAN」のイメージを作り上げていった。その写真が収められた豪華な蒔絵表紙のアルバムは、日本の一大輸出品になったといい、今も海外では高い関心が寄せられている。今展では、手彩色が施された写真と関連資料約150点を展示する。

会場で紹介されている「色のついた写真」はすべて「手彩色写真」。絵付師が1点1点色をつけたもので、彩色前後の写真を比較すると、色をつけることで髪や着物の皺が際立ち、帯などの模様も鮮やかになっていることがわかる。作品によっては現実よりも美しく見せることもあったという。写真に収められたのは日本の風俗や景色で、当時、外国人が関心を寄せていた場所や日本の様子を見ることができる。

日本には手彩色写真を売る写真館がいくつかあり、神戸にも「布引の滝」付近に「凌雲堂」があった。布引の滝を訪れた外国人に向け、写真の撮影・販売をしており、敷地内には休憩・撮影スペースにもなった庭があった。写真館ごとに絵付師がいたとされ、「同じテーマの写真でも写真館によって柔らかだったりポップだったりその個性が出ている。手作業による味わいを楽しんでほしい」と神戸市立博物館の水嶋彩乃学芸員は話す。

特別展「Colorful JAPAN-幕末・明治手彩色写真への旅」
会場 神戸市立博物館
期間 2024年3月30日(土)~5月19日(日)
・前期:3月30日(土)~4月28日(日)
・後期:4月29日(月・祝)~5月19日(日)
※会期中、一部作品の展示替えを行います。
休館日 月曜日 ※ただし4月29日(月・祝)と5月6日(月・振休)は開館、5月7日(火)が休館

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