「実現不可能と思ったのに…」まさかの舞台化に“大成功”した「伝説の漫画&アニメ」

『超ハジケステージ☆ボボボーボ・ボーボボ』(c)澤井啓夫/集英社・ボボステ製作委員会

人気ギャグ漫画『ボボボーボ・ボーボボ』が、『超ハジケステージ☆ボボボーボ・ボーボボ』というタイトルで2024年10月に東京・シアター1010にて舞台化されることが4月1日に発表され、大きな注目を集めた。

同作は2001年から2007年まで『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された澤井啓夫さんによる作品。全国民をボーズにするため、「毛刈り」が行われる西暦300X年に突如現れた、究極の拳法「鼻毛真拳」の使い手・ボーボボを主人公にした不条理ギャグバトル漫画だ。

今回の舞台化が注目を集めた理由は、4月1日の午前0時に、まず『ボボボーボ・ボーボボ』の公式Xアカウントが、“300X年に鼻毛真拳劇場にてボーボボの脚本・総合演出により同作が舞台化される”という告知投稿をエイプリルフールネタとして発信したため。

この日は主人公・ボーボボの誕生日でもあり、後ほど正式に舞台化が発表されたが、すっかりネタだと思っていた人が多かったに違いない。実際に舞台化が発表された後でも、驚きを隠せないという人は多い。

なぜ『ボーボボ』が舞台になるのか。そもそも登場人物も内容もハチャメチャな作品が舞台で表現できるのか、いざ本番を迎えるまで全貌が予想ができない作品となりそうだ。

■キャスト陣も大成功だった舞台『パタリロ!』

『ボーボボ』同様、実現不可能と思われていた伝説の漫画・アニメの舞台化作品は意外と多い。

たとえば、魔夜峰央さんのギャグ漫画を原作とした舞台『パタリロ!』もそうだろう。

1978年から『花とゆめ』(白泉社)で連載開始された同作は、架空の島国マリネラ王国の国王パタリロが、側近のタマネギ部隊や、スパイのバンコラン、その恋人マライヒらを巻きこんで起こす騒動を描く作品。

舞台版『パタリロ!』は、2016年からこれまで4度に渡って舞台化されている。主役のパタリロ役は、全作共通して俳優の加藤諒さんが務めている。濃くてインパクトのある顔立ちがパタリロにぴったりだ。

特にタマネギ部隊は、タマネギを模したかぶり物をかぶり、いつも全力の変顔を披露し、独特な声色でセリフを喋る。それらを演じるのが、普段は2.5次元を中心に活躍するイケメン俳優たちである点も、原作に忠実といえる(原作では、タマネギ部隊は全員、素顔がイケメン)。

どう舞台化されるのか発表当時は話題を集めていたが、今ではすっかり人気シリーズとなった。とにかく華やかで濃い世界観は、一度見たら癖になると評判だ。

■『ギャグマンガ日和』も舞台に

続いては1999年より『月刊少年ジャンプ』(集英社)にて連載開始し、2014年12月に『ギャグマンガ日和GB』と改題し、現在も『ジャンプSQ.』で連載が続いている増田こうすけさんによる『ギャグマンガ日和』。

同作は1話完結型のギャグ漫画で、歴史上の人物や有名人が主人公だったり、おとぎ話をパロディしたものだったり、オリジナルのキャラがメインの話など、なんでもありのギャグ漫画だ。

どこをどう舞台にするのかというファンの心配をよそに、2015年に『舞台 増田こうすけ劇場 ギャグマンガ日和』のタイトルで舞台化。物語の軸に普通田ふつお(原作モデルキャラ・平田平男)を置き、原作漫画の人気キャラの聖徳太子と小野妹子、うさみちゃんなどが登場する。

その後、2016年の初演から、ステージセットとキャストをアレンジして再演され、2017年には人気キャラの松尾芭蕉と河合曽良を主役とし、他のキャラクターも一新した完全新作が上演。2018年には夢野カケラが漫画家を目指すストーリーの新作が上演された。

こんなに何度も舞台化できるのは、原作に魅力的で多彩なキャラがそろっているためだろう。原作ファンにはクスッとなる場面が多くあった。

■シュールすぎた舞台『チャージマン研!』

最後はシュールな世界観が話題となった『チャージマン研!』の舞台。

同作は、1974年にTBSなどで10分放送枠で全65話が放送されたナック(現・株式会社ICHI)制作によるオリジナルアニメ。21世紀後半の地球に地球侵略を目論むジュラル星人が攻めてきて、主人公の泉研がチャージマンに変身し、地球を守るために奮闘するというものだ。

アニメは低予算からか作画や演出に違和感が残る点が多く、ストーリーもご都合主義で奇妙な点が多い。しかし、そのことがかえって2000年代後半頃よりネットを中心に話題となり、人気に。そして2019年に初舞台『LIVEミュージカル演劇「チャージマン研!」』が上演され、2020年、2023年に舞台化されている。

舞台が行われる劇場「新宿FACE」の、ステージを客席が360度囲む舞台構造を活かし、4人の研が各方向に同時に出演するのがお決まりとなっている。また、シチュエーションが分岐する“同時多発演出”という他舞台にはなかなかない演出も特徴的だ。

変身シーンを、他のキャストが手袋やヘルメットをかぶらせるという手法で再現されるなど、ネタに凝っており、また原作アニメの動画枚数の少なさをネタにしたかのような“止まった動き”などの再現度の高さも話題に。客席からは様々なカラーのペンライトが振られ、一体感が楽しめる舞台となっている。

「収拾がつかないのでは?」と心配されるようなギャグ作品でも、舞台では不思議とうまくまとまっているものばかり。そればかりかハチャメチャであればあるほど面白くなっているとファンには好評だ。舞台『ボーボボ』もきっと会場が熱気に包まれるだろう。まだ発表されていないキャスト陣にも注目が集まる。

© 株式会社双葉社