「被爆体験者」参加検討 8月9日、被爆者4団体の首相面会 長崎市

 毎年8月9日に開かれる長崎市の平和祈念式典後に被爆者4団体が首相らと面会する場に、国指定地域外で原爆に遭い被爆者と認められていない「被爆体験者」が参加することについて、市が具体的な検討を始めたことが19日、分かった。市が4団体それぞれと調整を進めているが、4団体の各代表は本紙取材に対し、体験者の参加については了承する考えを示した。実現すれば初めて。
 例年、被爆者団体の代表が市内で首相や厚生労働相らと面会し、要望書を提出している。特にこの数年は体験者の救済を強く求めてきたが、前進回答はないままだ。
 一方、今年2月の衆院予算委員会の分科会で、武見敬三厚労相が体験者との直接面会を「検討させていただく」などと答弁。これを受け、3月下旬には厚労省から市に対し、検討着手の連絡があった。市は被爆者4団体に対し、体験者の参加の可否などについて意向確認を進めている。仮に体験者が参加できる場合でも、発言の機会が設けられるかどうかなどは今後調整が行われるとみられ、流動的な部分は多い。
 被爆者は医療費や健康管理手当などを受けられるのに対し、体験者は被爆体験による精神疾患やその合併症の医療費に限られ、支援内容に差がある。体験者が県と市に被爆者健康手帳の交付などを求めた訴訟は9月9日に判決が出る予定で、高齢化した体験者は早期救済を求めている。

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