マカオで”人食いバクテリア”ビブリオ・バルニフィカス菌感染の死亡例

マカオの公立大型総合病院、仁伯爵綜合醫院(資料)—本紙撮影

 マカオ政府衛生局は4月19日夜、「人食いバクテリア」と呼ばれる細菌のひとつ、ビブリオ・バルニフィカス菌感染例がマカオで1件報告され、患者は死亡したと発表。

 患者はアルコール性肝硬変の既往歴があるマカオ人の男性(62)。4月15日に発熱、腹痛、下痢の症状が半日にわたって続いたことから、公立総合病院の仁伯爵綜合醫院(通称:山頂醫院)を受診し、入院治療を受けることになったという。身体検査で明らかに傷口は見つからず、16日に病状が悪化し、ショック症状が出現。その後、集中治療室に移り、血液培養の結果、ビブリオ・バルニフィカス菌が検出され、17日に病状の悪化が進み、死亡。ビブリオ・バルニフィカス菌及び感染性ショックと診断された。

 なお、同局の調査で、患者と同住の家族に同種の症状は出ていないが、患者は発病前に自宅で魚介類を処理して食べており、この際に食材を徹底加熱したかどうか、家族は確認できなかったとのこと。

 衛生局では、ビブリオ・バルニフィカス菌は温暖地域の海水中に自然に存在する細菌で、傷口が菌を含む海水に触れたり、汚染された魚介類の摂取により感染を引き起こす可能性があるとし、皮膚に傷がある場合は海水との接触を避ける、傷口を清潔に保ち適切に保護する、魚介類を口にする際及び調理において取り扱いに注意するなどの対策のほか、生命に関わるため、摂取や接触後に下痢、嘔吐、腹痛、皮膚の腫れ、痛み、化膿といった感染が疑われる症状が出現した際には速やかに医療機関を受診するよう呼びかけた。

 マカオにおけるビブリオ・バルニフィカス菌の感染確認例は今年に入って初めて。昨年はコロアン島にあるビーチで遊泳中と散歩中に手や足の指が魚のヒレと接触して負傷したことによるケースが2件、11月初頭にコロアン島・コロアンヴィレッジ付近の堤防で魚釣りをしている男性が釣れた魚を掴む際に手の一部が魚のヒレと接触して刺傷を負ったことによるケースが1件、公設市場の鮮魚売場で誤って魚のヒレで指に刺傷を追ったことによるケースが1件の計4件確認されたが、死亡例はなかった。

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