2024年度の年金額・すべて68歳以下と69歳以上に分かれる?(4)

中高齢寡婦加算は65歳未満の方が対象になる

40歳以上65歳未満の方で、遺族基礎年金が支給されていない妻が遺族厚生年金を受給しているというケースでは、当該遺族厚生年金に中高齢寡婦加算というものが加算されることがあります。

中高齢寡婦加算は、第1回で取り上げた遺族基礎年金(基本額)の4分の3の額で計算されます。加算対象が65歳未満の人のため、新規裁定者の額のみです。2024年度は、新規裁定者の遺族基礎年金(基本額)・81万6000円の4分の3である61万2000円(100円未満四捨五入)が加算額となります(【図表1】)。

経過的寡婦加算は69歳以上のみ

一方、65歳以上の方で遺族厚生年金を受給している妻のための加算制度「経過的寡婦加算」というものがあります。この経過的寡婦加算とは、新規裁定者と既裁定者でそれぞれで加算額を定めることが制度上設けられていますが、1956年4月1日以前生まれの人を対象とした加算であることから、2024年度は69歳以上となる人に加算されます。

つまり、68歳以下(1956年4月2日以降生まれ)の人については2024年度に該当者がいません。したがって、全員が69歳以上既裁定者です。

69歳以上既裁定者の額として計算され、生年月日によって加算額が異なる経過的寡婦加算は【図表2】のAからBを差し引いて算出します。Aの額は69歳以上既裁定者の遺族基礎年金(基本額)・81万3700円の4分の3である61万300円(100円未満四捨五入)となり、Bの額は「61万300円(A)×生年月日に応じた数」で算出します。

新しい額になるのは、2024年6月14日振り込み分から

全4回で2024年度の年金額について解説しました。年金額の計算方法は複雑で、68歳以下の人と69歳以上の人で計算方法が変わるかは年金の種類によっても異なります。

2024年6月14日振込分(※2024年6月15日は土曜日のため前日の14日)から2024年度の額となりますので、支給される額を確認するとよいでしょう。

執筆者:井内義典
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者、特定社会保険労務士、1級DCプランナー

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