1987年、新世代のマシンが登場。よりハイレベルに【グループAレースクロニクル1985-1993 JTC9年間の軌跡(4)】

ツーリングカーレースが日本で一番熱かった9年間を1冊にまとめた「グループAレースクロニクル1985-1993 JTC9年間の軌跡(モーターマガジン社/2970円)」が1月31日から発売されている。ここでは、そこからの抜粋をお届けする。

スープラが鮮烈なデビュー戦勝利。インターTECはシエラの圧勝

1987年はETCがWTC(世界ツーリングカー選手権)に改められるなど、世界的動きのあったシーズンだ。

JTCの開幕戦は、3月22日、西日本サーキットで開催された「全日本ツーリングカー選手権レース」だ。予選ではカルソニックと並ぶ国内勢の強豪、ダンロップハセミスカイライン(長谷見昌弘/鈴木亜久里)がポールポジション、STPミツビシ スタリオン(高橋国光/中谷明彦)がセカンドロー。決勝ではレース序盤でエンジントラブルでリタイアしたスカイラインを尻目に、スタリオンが優勝を果たす。総合2位には無限MOTULシビックが入り注目を集めた。

1.6Lでは驚異的は速さを見せた無限MOTULシビック(中子修/岡田秀樹)。ここでもクラス優勝はもちろん、総合も2位に食い込んだ。

8月21日には第2戦となる「ハイランドツーリングカー300kmレース」が開催される。ここでも予選ではダンロップハセミスカイライン(長谷見/鈴木)がポールを穫る。しかし決勝では総合21位と後退し、優勝はSTPミツビシ スタリオン(高橋/中谷)。これで連勝となった。このレースでは前戦エンジントラブルでリタイアしたフォードシエラRSコスワース(見崎清志/長坂尚樹)が2位に入賞し戦闘力の高さを見せた。

グループAの一時代を築くフォード・シエラRSコスワース。TRAMPIO・SIERRA(見崎清志/長坂尚樹)が2位に入賞した。

8月30日には第3戦「87レース・ド・ニッポン筑波」が開催された。ポールポジションはダンロップ ハセミスカイライン(長谷見/鈴木)で3戦連続。決勝では予選3位からスタートしたトランピオシエラ(見崎/長坂)が圧倒的な速さを見せ、2位以下をすべてラップ遅れにして初優勝となった。2位には手堅く走った無限MOTULシビック(中子修/岡田秀樹)が入賞。ポールのダンロップハセミスカイラインは、レース序盤でエンジントラブルでリタイアした。

日本車勢が注目されたインターTECはシエラRS500の強さが目立つ

9月20日に開催された「SUGOグループA300km選手権レース」では注目マシンが登場した。一台はBMWがグループAで勝つために投入したM3で、オートテックM3(W・ホイ/柳田春人)が参戦。もう一台は、総合優勝を狙えるマシンがなかったトヨタが投入したスープラターボ(MA70)で2台体制で参戦した。

SUGOには大注目の一台、BMW M3が登場。オートテックM3(W.ホイ/柳田春人)はハイパワーのスープラを追いかけ回し総合2位に。

予選でポールを辛くも獲得したのがSTPミツビシ スタリオン(高橋/中谷)。だが、決勝ではミノルタスープラターボ(A・ジョーンズ/E・エルグ)が、快走を見せる。同じくデビュー戦だったオートテックM3(ホイ/柳田)を従えてデビューウインとなった。

第4戦にはミノルタスープラターボ(A.ジョーンズ/E.エルグ)がデビューする。パワーで他を圧倒してデビューウインを飾った。

迎えた第5戦となる「インターTEC」は11月15日に富士スピードウェイで開催された。注目されたのは日産がグループA制覇のために開発したスカイラインGTS-Rが登場したことだ。

NISSAN SKYLINE GTS-R RICOH(星野一義/A.オロフソン)はデビュー戦となった。予選5位とまずまずだったが決勝は15位という結果だった。

予選ではニッサンスカイラインGTS-Rリコー(星野一義/A・オロフソン)が5番手と好位置に付ける。ただ、このときはWTCからテキサコ フォードシエラRS500が2台参戦。K・ルドビクとK・ニーツビーツのコンビはポールトゥーフィニッシュを成し遂げる。

2位には国内組のトランピオシエラ(長坂尚樹/A・ロウズ)が入賞。星野/オロフソンのGTS-Rは一時順位を3位まで上げるも、ピット作業での手間取りやオロフソンのスピンなどもあり15位でのフィニッシュとなった。

87年のインターテックを制したのはTexacoFord serra RS500(K.ルドビク/K.ニーツビーツ)。スタリオン、スープラ、スカイラインに付け入る隙を与えなかった。

最終戦は12月5日に開催された「スーパーファイナルラウンドIN鈴鹿」。ここでもトランピオシエラ(長坂尚樹/横島久)が優勝。2位に旧型となったダンロップハセミ・スカイライン(長谷見/鈴木)が入賞した。

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