俗称は「丸い悪魔」? ガンダムのアイドル的マスコット「ハロ」はゲームでどう描かれたのか

『ハロプラ ハロ ベーシックグリーン』 ©創通・サンライズ

ガンダムファンなら、誰もが知っている「ハロ」。もともとは富野喜幸(現:富野由悠季)監督による1978年のテレビアニメ『無敵鋼人ダイターン3』の修理ロボットとなるはずだったが、そのデザインの良さで、翌年放送開始のアニメ『機動戦士ガンダム』にて、ペットロボットとして抜擢されることとなった。

第1話「ガンダム大地に立つ!!」から登場し、結果、今や宇宙世紀シリーズだけでなく、『機動戦士ガンダムSEED』シリーズや最新作『機動戦士ガンダム 水星の魔女』にも登場し、存在感を発揮している。まさに、ガンダムを象徴するアイドル的マスコットキャラクターだ。

そんなハロは、『ガンダム』のゲーム作品にも多く登場し、時にはそのかわいい見た目の一方で、「丸い悪魔」と呼ばれることも。今回は「ハロ」が歴代のゲーム作品では、どう描かれたのかを見ていこう。

■「丸い悪魔」と呼ばれるきっかけ『Gジェネ』シリーズ

プレイステーションソフトとしての発売以降、様々なハードでリリースされている『SDガンダム Gジェネレーション』シリーズ。この『Gジェネ』では、ハロは最強クラスのMSユニットとして登場しており、パラメータはトップクラス。ついた異名は「丸い悪魔」である。

さらには、シリーズを追うごとにバリエーションが増えていくという厚遇ぶりだ。

たとえば「サイコ・ハロ」は、口から画面全体が埋まるほどの大量のハロ型ビットを射出するサイコミュ兵器「ハロ・ビット」を搭載している最強機体。全身真っ黒のボディに目を赤く光らせている、ただならぬオーラをまとう機体で、普通のハロの性能に加え、『機動戦士Vガンダム』のタイヤ戦艦・アドラステアのように、地形すらも破壊してしまう「地ならし」まで使いこなす。

「ゴッド・ハロ」も同シリーズのオリジナルのハロ。名前の通り『機動武闘伝Gガンダム』のモビルファイターをモチーフとしたハロであり、同作に登場する技のパロディ技を使いこなす。マスターガンダムの十二王方牌大車併に似た「十二王方覇呂(じゅうにおうほうはろ)」や、ゴッドガンダムの爆熱ゴッドフィンガーに似た「ゴッド・ハロ・フィンガー」など、強烈な技を1体で使いこなす。

他にも『機動戦士ガンダムSEED』に登場するカラフルなハロと同じカラーのバリエーション機が登場するなど、やりたい放題なのが『Gジェネ』でのハロだ。

■イデオンにもなれる『ハロボッツ』

一方、ワンダースワンやゲームボーイカラーで発売された『ハロボッツ』シリーズは、ハロが主役となったゲーム作品。『ハロボッツ』におけるハロは、『ポケットモンスター』シリーズにおけるポケモンのような立ち位置だ。

『ハロボッツ』の世界では、子どもが10歳になるとハロが与えられる。そのハロは、ハロボッツという巨大ロボットへ変身することができる。それを戦わせて、ハロボッツの強さを競うのが、ハロボッツバトルなのである。

ハロが変身できるロボットは、『重戦機エルガイム』のエルガイム、『魔神英雄伝ワタル』の龍神丸をはじめ、他にも『勇者』シリーズや『エルドラン』シリーズのロボットなど、多くのサンライズ系ロボットたちだ。

『ハロボッツ』には『星方武侠アウトロースター』や『超力ロボ ガラット』など、『スーパーロボット大戦』シリーズでもなかなか見ることができない作品も登場しているが、なぜかハロの出典元である『ガンダム』シリーズからは、ハロ以外の機体が一切登場していない。不思議なゲームである。

■野性味あふれる叫び声をあげるハロ『第3次スーパーロボット大戦』

最後はゲームの小ネタ的に登場しているハロだ。さまざまなロボットアニメが登場するクロスオーバー作品『スーパーロボット大戦』シリーズでは、キャラクターが搭乗していない“人工知能”などAIが操作する機体については、パイロットの顔は電子基板のようなグラフィックで表現されている。

それが、1993年に発売されたスーパーファミコン用ソフト『第3次スーパーロボット大戦』では、なぜか人工知能の敵パイロットとしてハロが描かれているのだ。

描かれているのは普通のいわゆる“緑ハロ”で、つぶらな瞳のかわいい見た目。しかし、攻撃の際には「ガォォォォォン!!」と、野獣のような雄たけびを上げる。乗っている機体も、『マジンガーZ』シリーズの機械獣や『ゲッターロボ』シリーズのメカザウルスだったりと、中々にシュールだった。

他にも『グレイトバトル』シリーズや『シャッフルファイト』といった、ガンダムが登場するクロスオーバー作品でも、ちょっとした隙間を埋める、便利なキャラクターとしての立ち位置を確立することとなったハロ。見方によっては主役級以上に目立つポジションとなることも多く、ガンダムに詳しくないゲーマーの間でも認知される存在だろう。

近年では、『ガンダム』シリーズ以外にも、サンライズアニメ作品全般において、サンライズのロゴ表示にも使われている。もしかすると『ガンダム』よりも有名になる日が来るのかもしれない。

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