「クレイジージャーニー」にも出演 写真家・佐藤健寿さんが考える「奇界」とは 「境界線を考えてもらうこと自体がこの自分の展示のテーマ」

人気テレビ番組「クレイジージャーニー」への出演などでも知られる、写真家・佐藤健寿さんの作品展が鳥取県米子市で開催されています。
世界各地を訪れた佐藤さん。山陰にも、ポテンシャルの高さを感じたそうです。

米子市美術館で4月7日にスタートした「佐藤健寿展 奇界/世界」。

山陰地方では初開催で、米子市の映像制作会社、山陰ビデオシステムが設立45周年を記念して企画しました。

人気テレビ番組「クレイジージャーニー」への出演でも知られる佐藤さん。作品のテーマは、世界中の「奇妙なもの」です。

写真家 佐藤健寿さん
「奇界というのは自分の造語で、世界にある奇妙なものとか、奇妙な世界そのものだとか、色んな言葉で説明しています。奇妙というのは絶対的な価値観とかではなくて、むしろすごく相対的。地元においては、ごく当たり前に昔から行われていて、我々から見ると少し奇妙に見えるんだけども、地元では普通で。
つまり、奇妙なものと普通なものの境界線はその人によって異なる。境界線を考えてもらうこと自体がこの自分の展示のテーマなのかなと思います」

会場には、「北朝鮮のピョンヤン」で撮影した大勢の人々や、中国の「マトリョーシカ・ホテル」など、過去20年にわたって120か国以上を巡って撮影したユニークな作品、200点あまりが展示されています。

その中でも印象的なものとは?

写真家 佐藤健寿さん
「一つ印象深いのは、今回ポスターでも使ってる北朝鮮の「マスゲーム」というものなんですけども、撮影に行くのにも苦労しましたし、撮影するのにも苦労しました。
僕はとにかく一番いい所で撮りたかったんのでVIP席っていうのを買ったんです。そのチケットは10万円ぐらいしたんですが、撮影に行ってみたら、そこが前日、金正恩がいた席みたいな場所で、後ろからすごい観衆から「あいつは何なんだ」っていう感じで見られまして、そんな中で撮影したという思い出があります」

さらに…

写真家 佐藤健寿さん
「作品として気に入ってるのは、「ネネツ族」という北極に暮らしてる少数民族がいるんです。
トナカイを連れて遊牧している民族で、そのトナカイをもう雪原でその場でさばいて食べるという、生の血を飲んで、ビタミンを取るために肉も生のまま食べるというかなり変わった食習慣をしてる民族で、撮影はすごく印象に残っています」

また、佐藤さんは、今回山陰でも撮影を行い、題材として山陰のポテンシャルの高さを感じたと話します。

写真家 佐藤健寿さん
「ポテンシャルは非常に高いと思います。言い方が正しいかわからないんですけど、僕が撮影してるものっていうのは、世界の中でも他の文化と隔絶した場所にあるものが多いです。
それは分かりやすいからそういう場所に行くんですけども、山陰という場所は、これ悪い意味じゃなくて、アクセシビリティの悪さといいますか、それは一般の観光的な目線で見るとネガティブなことに捉えられがちなんですけど、逆に言うとそれだけ独自の文化が守られて、ローカルなものがたくさん残っている。
今の時代において、むしろそっちの方が価値があるんじゃないかなって僕は思います」

鳥取県内で特別に撮影した日南町の鉱山跡などの作品も展示された佐藤健寿展「奇怪/世界」は、米子市美術館で5月26日までです。

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