適切な状況であればドラフト指名権のトレードに前向きなコルツGMバラード

インディアナポリス・コルツのクリス・バラード【NFL】

ドラフトを前にして、議論の大半はどのチームがトレードアップして上位指名権を手に入れる可能性があるのかに集中しているが、インディアナポリス・コルツのジェネラルマネジャー(GM)クリス・バラードは現地19日(金)にドラフト前の記者会見に臨んだ際に、自分がトレードダウンすることを記者たちがすでに予想しているように見えるとし、皮肉まじりに「すでに記事が目に浮かんでいる」と述べた。

とはいえ、冗談を交えつつも、状況さえ整えば、順位を上げる可能性も下げる可能性もあると感じているとバラードGMは明言している。

バラードGMは「歴史だ。私は歴史から判断するだけだ。指名権の数が多ければ多いほど、当たる可能性は高くなる。もちろん、全部が全部当たるとは限らないが、その確率は高くなる」とコメント。「いいか、私たちはムーブアップしたことがある。(ランニングバック/RB)ジョナサン・テイラーを獲得するためにムーブアップした。獲りにいけそうな選手を射程圏内で見つけたら、そうするつもりだ。だが、それはうまくいかなければならない。それから、トレードしたいと思っている人を見つける必要もある」

本人が言及しているように、コルツのジェネラルマネジャーを務めてきた7シーズンで、バラードGMは極めて重要なトレードを行ってきた。入念に練り上げられた指名権交換によって、コルツにはフランチャイズの礎となる選手たちがやってきている。2020年、コルツはクリーブランド・ブラウンズとの取引でドラフト全体41位指名権を獲得してテイラーを指名。入団して以来、テイラーがオフェンスで重要な役割を果たしてきたことは言うまでもない。同じドラフトの2巡目で、コルツはテイラーを指名する前にワイドレシーバー(WR)マイケル・ピットマンも獲得している。その指名権は2019年ドラフト1巡目指名権をトレードする代わりに得たものだった。1,000レシーブヤード以上を2シーズンで記録するなどして、コルツに報いてきたピットマンはつい先日、契約延長に合意している。

今年のドラフトで全体15位指名権を持つバラードGMが再び動きに出るかは、最初のいくつかの指名で何が起こるかによって決まる可能性が高い。バラードGMは“優秀で違いを生み出せる”と感じた選手のために指名権をいくつかトレードすることを否定しないだろう。ただ、ダイヤモンドの原石を見つけるチャンスが増えるのであれば、指名順位を下げた方が有益な可能性もあるとバラードGMは述べている。

コルツの指名権は7つと、比較的少ない。7つの指名権を持つチームは他に9チームあるが、コルツより指名権が少ないのは4チームだけであり、トレードダウンで資本の数を増やすのは魅力的な選択肢となりそうだ。

コルツが最初の指名権でどのポジションを狙う可能性があり、最終的にどのポジションを獲得するかについては、『NFL.com』のチャド・ロイターが、コルツの補強が必要な部分としてセーフティ(S)、ランニングバック、ワイドレシーバー、インテリアオフェンシブラインマンを挙げている。

バラードGMが特に強調したのは、ワイドレシーバーとオフェンシブラインの層の厚さだ。コルツはピットマン、アレク・ピアース、ジョシュ・ダウンズで構成される堅実なWRトリオを擁しているが、それでもなお、層の厚さを生かすことはできるだろう。それと同様に、コルツは2023年に抱えていた先発オフェンシブラインマンを1人も失っていないが、バラードGMは2年目のクオーターバック(QB)アンソニー・リチャードソンが肩の手術から復帰する予定となっていることもあり、プロテクションが「常に第一であり、何よりも重要だ」と繰り返し強調している。

「本当に充実しているポジションがいくつかある」と語ったバラードGMは「例えば、今回のドラフトのオフェンシブラインは本当に素晴らしいし、全体に厚みがある。その層の厚さゆえに、中盤あるいはそれ以降でも、本当に優秀な選手を獲得できるはずだと心から信じている。ワイドアウトもよく似ている。この2つのポジショングループは際立っていて、どちらもかなりいい感じだ」と続けた。

コルツを含むNFLのチームは現地25日(木)夜からデトロイトで、指名順位がどのように入れ替わるのかを見守ることになる。

【RA】

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