<食の新常識>ひじきが鉄分豊富は誤解だった!真の鉄分豊富な食材は?【管理栄養士が解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

食と健康の常識は、時間が経って変わったり新事実が発見されたりします。食事管理アプリ『あすけん』管理栄養士の道江美貴子氏による著書『あすけん公式50代からの食べやせ術』では、そんな新常識が紹介されています。今回は、ひじきに関する新事実を本書から一部抜粋して取り上げます。「鉄分豊富な食べ物といえば、ひじきの煮物」というのは誤解で、実は思ったほどの鉄分は含まれていないそうです。

ひじきはそれほど鉄分豊富な食べ物じゃない?

ひじきは昔から「鉄分が豊富な食べ物」と言われてきました。ところが日本食品標準成分表2015年度版の発表時に、実はそれまでに想定していたほどの量の鉄分が含まれていないことがわかりました。

なぜこのような誤解が、「栄養の常識」として通っていたのかというと、昔はひじきを加工する調理窯に鉄製の窯が使われてきた経緯があります。調理する釜をステンレス製にしたところ、鉄分が100gあたりで58.0gから6.2gと約9分の1になってしまったのです。

そう、加工中の窯からしみ出していた鉄分をひじきが吸収し、栄養分の数値を押し上げていたんですね。まるで冗談のような、ちょっと不思議で本当の話です。

レバーや赤身肉に鉄分が多く含まれている

というわけで、ひじき自体に鉄分はそれほど多く含まれていないものの、低カロリーかつ食物繊維やカルシウムたっぷりの、栄養価の高い食材であることには変わりありません。ぜひ積極的に食べましょう。

更年期の女性のなかには、閉経前のホルモンバランスの変化により、月経量が一時的に増えて貧血気味になる場合もあり、鉄分はしっかりと補給しておきたい栄養素です。

鉄分が多く含まれている食べ物といえば、まずはレバーや赤身肉。植物性たんぱく質ならば大豆や豆腐や豆乳などの大豆製品。野菜ならばほうれん草、小松菜には鉄分が多く入っています。たとえば冬の時期ならば、これらの野菜を入れた豆乳鍋などは、手軽に鉄分を補給できるメニューです。

またひじきの話ではないですが、鉄素材の調理器具を使うと、食材に鉄分を加えることは可能です。鉄分不足が気になる人は、検討してみてもいいかもしれません。

道江 美貴子

管理栄養士

(株)asken取締役

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