三菱食品 ベトナムのスタートアップ企業に出資 日本産食品の輸出拡大へ

三菱食品は、ベトナムで輸入食品小売店を展開するスタートアップ企業のHomefarm Holding Joint Stock Company(ベトナム・ハノイ市、CEO:Tran Van Truong、以下Homefarm)に出資する。

Homefarmは、主に生鮮サーモンと冷凍牛肉を取り扱う輸入食品小売店。ハノイ、ホーチミンを中心にベトナム全土で161店舗を展開。関連食材として醤油やわさび、ステーキソースなどの調味料、ベトナムで広く親しまれている鍋の素(スープ類)や具材となる冷凍食品などを販売している。

ベトナム国内で伝統的に生鮮品が購入されている市場(ウエットマーケット)の近接地や住宅街に30~40㎡の小型店舗を出店。短期間で機動的に出店する店舗開発能力に優れており、創業した17年末に10店舗だった店舗数は、24年3月末までの6年間で約16倍に急拡大した。

三菱食品では、国内市場の縮小傾向が予想されるなか、日本食文化の輸出を通じた海外での新たな需要創造を成長戦略の一つと位置付け、スタートアップ企業とのオープンイノベーションの取り組みも積極的に推進している。

こうした中で、「市場の成長性、親日的文化、食品輸入制度などからベトナムを有望市場と捉えて進出機会を模索してきた」(三菱食品)。昨年、現地企業を通じてHomefarm社との接点ができ、互いのオペレーション視察や創業者CEOのTruong氏との度重なる対話を通じて相互理解と信頼関係を深め、「日本産品の販売先およびベトナム市場開拓のパートナーとしてHomefarm社への出資を決めた」(同)。

第三者割当増資による出資額は45000百万ベトナムドン(約2億9千万円)。Homefarm社は店舗網拡大や既存店・配送センターの改装、システム・人材投資により、さらなる成長を加速させる。

また、三菱食品では飲料や調味料などの日本産品を輸出し、Homefarmの店舗で販売する取り組みをすでに開始。同社の店舗ネットワークを活用したテストマーケティングや新業態へのトライアルも予定している。

「現地消費者の生の声や購買データを分析し、日本食の現地展開や新たな需要を創造する商品開発、食品メーカーのベトナム進出支援に取り組む」とした。

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