「年収1200万円」あっても、貯蓄がなければ老後はヤバい!? 高収入でも“安心できない理由”を解説

将来受け取る年金には上限がある

もしも老後に貯蓄が全くなく、働いてもいない場合、基本的な収入源は年金になるでしょう。会社員の場合、老後は老齢基礎年金と老齢厚生年金をもらえます。

老齢基礎年金の受給額は、受給資格期間などの要件を満たしているかどうかで決まり、2023年度においては老齢基礎年金の満額は年間で79万5000円です。

老齢厚生年金は「報酬比例部分」「経過的加算」「加給年金額」の合算ですが、大半は「報酬比例部分」が占めます。

そして、報酬比例部分は年収が高くなるほど増えますが、上限があり、だいたい年収が780万円くらいで頭打ちです。

年収1200万円の会社員が受け取る年金受給額

年収1200万円の会社員は、将来どれくらい年金を受け取れるのでしょうか。年金は基本的には65歳以降もらえますので、今回は20~60歳まで働き、その間の平均年収が1200万円、65歳から老齢基礎年金と老齢厚生年金を受給開始したとします。

まず老齢基礎年金ですが、このケースでは満額の年間79万5000円が受給できます。
続いて、老齢厚生年金の報酬比例部分ですが、こちらの計算式は次のとおりです。

・報酬比例部分=平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の厚生年金加入月数

標準報酬額は、年収が増えるほど大きくなりますが、前記のとおり、年収が1200万円の場合は既に上限を超えています。そして、生涯の平均年収が1200万円の場合、平均標準報酬額は65万円になります。そのため、計算すると報酬比例部分で受け取れる年金受給額は171万72円です。

先ほどの老齢基礎年金の79万5000円と老齢厚生年金の報酬比例部分を合算すると「250万5072円」となります。

一度上げた生活水準を戻すのは容易ではない

年収1200万円の人は老後に年間受け取る年金は250万5072円ですので、月額にすると20万8756円です。

また、総務省によると、65歳以上の単身無職世帯の2023年の平均的な支出は月額で15万7673円です。

そのため、独身であれば、現役時代1200万円の人は平均的な月額の支出以上に年金をもらえますので、一見すると老後がヤバいとは思えないかもしれません。

しかし、現実は厳しい場合もあります。年収が1200万円あったとしても、都心部で家賃が高かったり、自己投資などの費用がかさんだりといったこともあるでしょう。

いずれにせよ、長年高い生活水準で過ごしてきたものを、急に下げることは簡単ではないでしょう。

高収入でも将来を見据え、計画的な貯蓄が大切

高収入だったとしても、年金には上限があるため、必ずしも老後は年金だけで安心とはいえません。

現役時代にどれだけ収入があったとしても、将来の支出と収入を見据え、必要に応じて計画的に貯蓄をしておきましょう。

出典

国税庁 令和4年分民間給与実態統計調査-調査結果報告-
日本年金機構 老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・年金額
日本年金機構 は行 報酬比例部分
日本年金機構 令和2年9月分(10月納付分)からの厚生年金保険料額表(令和5年度版)
総務省 家計調査報告〔 家計収支編〕 2023年(令和5年)平均結果の概要

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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