中国キャンプ産業に活力、小さなテントが大市場を支える

中国キャンプ産業に活力、小さなテントが大市場を支える

ネット上で人気のキャンプ地、海口市南渡江畔の北姆堆。(資料写真、海口=新華社配信)

 【新華社上海4月22日】中国のキャンプ文化はここ数年、ニッチな存在から人々の生活に浸透しつつあり、キャンプ産業も高い消費の活力を示し、一部の人気キャンプ地では予約が取りにくい現象も起きている。

 キャンプ産業の人気はテントの販売量から見ることができる。動画投稿アプリ「抖音(ドウイン)」の電子商取引(EC)プラットフォーム「抖音電商」によると、3月のアウトドアスポーツ用品販売量は前月比2.3倍、前年同月比61%増となり、うちキャンプ用品がそれぞれ57%、28%増加した。

 EC大手の拼多多(ピンドゥオドゥオ)によると、直近1カ月のキャンプ用テントとエアベッド類の販売量は60%増、カーミットチェアとエッグロールテーブルは90%増となった。クーラーボックス、蓄電設備、ハンモックなどのアウトドア生活用品もそろって増加した。

 業界や業界関係者の間では一般的に、2020年をキャンプ産業の元年と呼んでいる。国産テントブランド「The Free Spirits(自由之魂)」の創業者、王吉剛(おう・きつこう)氏によると、2010年から、北京、上海、広東省深圳で「キャンプブーム」がみられ、ここ数年はキャンプ産業が急成長期を迎え、ブームは加速しつつあるという。

中国キャンプ産業に活力、小さなテントが大市場を支える

消費財の国際見本市「第32回華東輸出入商品交易会」で、キャンプ用品を取り扱う企業の展示ブースで話し合う出展業者。(3月1日、上海=新華社記者/方喆)

 急成長するキャンプ産業は自動車消費の新たなトレンドもリードしている。ドライブやキャンピングカーに特化した情報サイト「路程網」などの機関は、中国の23年のキャンピングカー登録数が前年比24.3%増になると見込む。

 統計によると、国内のテント生産・販売関連企業は7万社を超えた。国家発展改革委員会などが23年に打ち出した「アウトドアスポーツ施設の建設とサービス向上促進行動計画(2023~25年)」では、25年までにアウトドアスポーツ産業規模を3兆元(1元=約21円)に押し上げるとした。

 復旦大学観光学部の孫雲竜(そん・うんりゅう)副主任は、キャンプがニッチな存在から人々の生活に浸透しつつある理由について、現在の大人気なキャンプと以前のキャンプは概念が異なるためと指摘する。以前のキャンプ文化は「特殊な旅行」に近く、ニッチでハードルがあり、特殊な設備や用品が必要だった。だが、現在のキャンプ文化は旅行と日常生活の間にあり、人々は家から出て自然に親しみ、自然を抱き、自然に溶け込むことを願っており、わずかな場所があればその願いは叶えられるとした。

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