『岸辺露伴』監督が高橋一生の身体能力を称賛 完全再現の“トニオ”の飛び入り参加も

ドラマ『岸辺露伴は動かない』第9話「密漁海岸」の試写会・出演者会見が4月22日にNHK放送センターにて開かれ、岸辺露伴役の高橋一生、泉京香役の飯豊まりえ、脚本・演出を手がける渡辺一貴、制作統括の土橋圭介が登壇した。

『岸辺露伴は動かない』シリーズの新作エピソードとして5月10日に放送される「密漁海岸」は、『ジョジョの奇妙な冒険』の第4部「ダイヤモンドは砕けない」のキャラクターであるトニオ・トラサルディーが登場する、ファンからも熱い支持を受けるエピソード。露伴とトニオが「ヒョウガラ列岩」へとクロアワビを密猟しにいくという、海中での描写も含めて、実写化が難しいとされていた、アニメ化もされていない物語である。

最初の挨拶で渡辺は、「満を持して、 今までやろうと思っていても手の届かない存在だった『密猟海岸』に5年目にして手が届いたというか。これまでの4年間の蓄積が出ていますし、新しい露伴、京香の一面だったり、一生さんには今までで1番体を張っていただいているかと思いますので、そういった面でも新しいチャレンジが凝縮されていると思っております」とこれまでのドラマ、映画での経験があったからこそ臨むことのできた作品であると話す。

海中でのシーンは実際の海でのロケと潜水用のダイビングプールで撮影された。プールには飯豊も見学に訪れ、水深が10メートルはある中で、高橋が3メートルから5メートルぐらいの深さまで潜っているのを目の当たりにし、高橋の身体能力とチームワークの高さを実感したという。すでに何度か「密漁海岸」を観ているという高橋は、渡辺が言う体を張る大変さが「あんまり伝わってない」と嘆き、会場の笑いを誘う。

「肺は本当に浮袋なんだなと実感しましたね。呼吸をしないで、吐ききった状態で沈んでいかないと、体って沈まないんですね。吐ききったところからスタートするんですけど、逆にカットがかかった後、上がっていけないっていうことがあって」とリアリティのある体験エピソードを交えつつ、「アワビに見えないから重しを仕込もうとか、散々僕を沈めさせようとする画策をしてくださったおかげで、映像としては臨場感のある芸術的なカットに仕上がっているんじゃないかなと思っています」と自ら称賛した。

今回の「密漁海岸」は、『ジョジョ』の第4部でトニオが初登場する「イタリア料理を食べに行こう」と「密漁海岸」を前後編として繋ぎ合わせた構成となっている。そのような構成にした理由を渡辺は、原作の「密漁海岸」はすでに読者がトニオの体の悪いところを改善させる能力がどのようなものか知っている前提のため、初めて今回のエピソードに触れる視聴者に向けてしっかりトニオの能力を紹介してからの方が、「密漁海岸」がより際立つのではないかと考えたという。

その前編のエピソードでは、京香が大活躍。露伴邸の近くにオープンしたイタリアンレストランに訪れ、トニオの料理を食べることによって、寝不足と虫歯が一気に治っていく。原作でいう虹村億泰に限りなく近いポジションにおり、大量の涙を流す描写もCGなしで再現。「食事で体に変化が起きていくんですけど、かなりトリッキーな動きでしたね。涙が出るところは最初は本当に泣かなきゃいけないのかなって覚悟してたんですけど、さすがにそんな量は(笑)。特殊メイクという形で水を受けていたんですけど、本当に溺れてしまうかと思うぐらいでした」と振り返った。

会場にはトニオを演じたAlfredo Chiarenza(以下、アルフレッド)も姿を見せ、「トニオのキャラクターは特に漫画の中で人気なので、ちょっとプレッシャーを感じました。この放送を観て気に入ってくれていたら嬉しいです」と挨拶。前後編にわたって共演シーンの多かった高橋は、「現場でお会いした瞬間、トニオだと思いましたからね。説得力のある形で現場にいて、日本語も完全にこなしてくださっていましたし、しっかりと芝居を受けてくださいました」と話し、トニオが今回のエピソードでの「主役」だと紹介する。フォトセッションでは高橋が飯豊、渡辺との集合写真にアルフレッドを招く一幕もあった。

(文=渡辺彰浩)

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