お酒を造る無人駅、JR山陰線に誕生 島根県の地ビール製造が駅舎を改装し工場整備

醸造タンクの横はガラス張りで、列車から見えるようになっている

 地ビール製造の石見麦酒(島根県江津市)が、市内にある無人駅のJR山陰線波子駅舎に新工場を完成し、内覧会を開いた。9月から本格稼働。近くにはヒツジ牧場や農園、飲食店もオープンする予定で、江津の新しいにぎわいの場になる。

 新工場は市が持っている駅舎のうち、窓口だった部屋など計78平方メートルを改装した。新たに350リットルの醸造タンク4基を据え、カレーやスープなどレトルト食品を作る部屋も用意。和室だった場所は冷蔵室に変えた。

 波子駅では当面、不定期で果実酒やレトルト食品を作り、同社商品を販売。6月末までに現工場から小型の発酵装置30台を移すなどし、ビール造りもできるようにする。本格稼働後はビールや果実酒などを月に計3キロリットル程度製造する。

 山口厳雄工場長(46)は「お酒を造る無人駅として、鉄道や空港を使って新たな山陰の魅力に気付いてもらうきっかけにしたい」と意気込む。

 石見麦酒の動きに合わせ、近くに肉用のヒツジを育てる牧場や、有機野菜の農園、飲食店もオープンする。波子はしまね海洋館アクアス(島根県浜田、江津市)の最寄り駅だが、年々利用客が減っており、市が駅や周辺のにぎわいづくりを進めている。

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