高出力「UV―C LED」開発 豊田合成、除菌能力3倍に

開発した、高出力「UV―C LED」

 豊田合成は22日、ウイルスや細菌の増殖を抑える作用がある「UV―C(深紫外線)LED(発光ダイオード)」で、世界最高水準となる光の出力を実現したと発表した。培ってきた青色LEDの結晶化や設計技術を応用し、従来製品に比べ光出力は約4倍に、除菌能力は約3倍に引き上げた。今月サンプル販売をスタートし、水や空気の除菌用途での利用拡大を図る。

 UV―Cは、ウイルスや細菌の遺伝子情報を破壊し、増殖を抑える効果を持ち、水や空気などの除菌用途に用いられている。豊田合成の製品はこれまで部屋の空気や水の除菌など、家庭用で応用されてきた。

 豊田合成は2017年にUV―C LEDの開発を開始。小型で長寿命などの利点がある一方で、従来から除菌に用いられてきた水銀ランプと比べると、出力に課題があった。そのため高い除菌能力が必要となる場所では、現在でも水銀ランプが使用されているという。

 今回、高出力な製品を開発したことで水銀ランプの代替品として、浄水場など規模の大きな場所での応用が可能になる。UV―C LEDの売上高は現状数億円程度。用途拡大に伴い、30年までに100億円規模に成長させたい考えだ。

 達成に向けて、大西亮ライフソリューション事業本部長は「当社の市場開拓能力が試される」と力を込めた。

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