ジェッツがQBウィルソンをブロンコスにトレードへ

ニューヨーク・ジェッツのザック・ウィルソン【AP Photo/Adam Hunger】

クオーターバック(QB)ザック・ウィルソンが新天地を求めて西へ向かう。

現地22日(月)、ニューヨーク・ジェッツが2024年ドラフトにおける後半のラウンドの指名権と引き換えに、2021年ドラフト全体2位で指名したウィルソンをデンバー・ブロンコスにトレードすると、『NFL Network(NFLネットワーク)』のイアン・ラポポートとトム・ペリセロが報じた。ジェッツがドラフト6巡目(全体203位)指名権を獲得する一方で、ブロンコスはウィルソンとともに7巡目(全体256位)指名権を見返りとして受け取る。

この4カ月間、ウィルソンのトレードは次第に避けられないものになってきていると見られていたが、その相手はなかなか見つからなかった。ブロンコスは今週、ユタ生まれでブリガムヤング大学(BYU)時代にスター選手として活躍したウィルソンの獲得をうまくやってのけることでその疑問に答えている。ウィルソンは同期の中でも最も期待された有望株の1人としてNFL入りしたものの、ニューヨークのまばゆい光の下で大きくつまずいた。

ウィルソンはジェッツの将来を担う司令塔として指名されたが、ルーキーシーズンの戦績は3勝10敗にとどまっている。不完全なオフェンシブラインの後ろでプレーすることを余儀なくされたことで、NFLの試合に圧倒された若きパサーは、サック44回、インターセプト11回を喫し、パサーレーティングは70にも満たなかった。2年目も先発を担ったウィルソンだが、成長はわずかしか見られず、一流のディフェンスを擁しながらも、それだけでは勝てなかったチームの足を引っ張っている。その結果、ジェッツは2023年のオフシーズンにQBアーロン・ロジャースと巨額の契約を結んだ。

ウィルソンは2023年に一歩下がり、将来の殿堂入りが確実視されている選手から学ぶはずだったが、ロジャースがレギュラーシーズン初戦の4回目のスナップでシーズン終了につながるアキレス腱(けん)のケガに見舞われたことで、すぐにまた火中に放り込まれている。理想的ではないにせよ、2023年以降も確保しておく価値がある戦力であることを証明する最後のチャンスを与えられたウィルソンは、それを生かすことができず、戦績は4勝7敗にとどまり、仕事を遂行するのに信じられないほど苦労した週もあった。シーズンが終わるまでにジェッツ――そしておそらくウィルソンも――次に進む準備ができていたが、契約が成立したのは2024年NFLドラフトが行われる週を迎えてからだった。

ザック・ウィルソンは、ラッセル・ウィルソンと決別した後に司令塔の選択肢を求めているブロンコスに加わる。ラッセルと別れたブロンコスには、先発として実績のあるクオーターバックを確保する予算がない。そのため、ブロンコスはジャレット・スティッドハムとベン・ディヌッチを擁するQBルームにザックを加えるという賭けに出ている。

ニューヨークで向けられていた厳しい目から逃れ、ショーン・ペイトンのようなヘッドコーチ(HC)の下で適切な指導を受ける必要があるザックにとっては、絶好の機会となりうるはずだ。ラッセルとの決別を経て事態を修復しようとする中で、あらゆる選択肢を残しているブロンコスで、ザックは先発の座をかけて争うチャンスを得るだろう。

ペイトンHCとジョージ・ペイトンGM(ジェネラルマネジャー)がクオーターバックに関する動きを止めるか、あるいは現地25日(木)夜からデトロイトで行われるドラフトでもう1人加えるかは分からない。しかし、確かなことが1つある。それは、ニューヨークでの苦難の3年間を終えたザック・ウィルソンが、ついに新たな機会を求めて荷物をまとめられるということだ。

【RA】

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