市道接続の「第4種踏切」17カ所を廃止方針 群馬・富岡市、目標期限定めず地元住民らと協議

 群馬県高崎市吉井町の上信電鉄の踏切で女子児童が列車にはねられ死亡した事故を受け、富岡市は22日、市内に20カ所ある警報機や遮断機がない「第4種踏切」のうち、市道に接続する17カ所について廃止する方針を表明した。目標期限は定めず、同社や地元住民らと協議を進める。廃止が実現するまでの当面の緊急措置として、安全対策済みや廃止が決まっている4カ所を除く13カ所にカーブミラーなどを設置する。

 榎本義法市長が同日の定例会見で「(市が)上信電鉄と共に地域に入り、第4種踏切の閉鎖に向けて努力していきたい。まずは廃止一本で地域の皆さんと交渉を進めたい」と説明した。残る3カ所は私道に接続する踏切のため原則、同社と所有者で協議を進めてもらう。

 13カ所に行う緊急措置は、歩行者のみが通行する踏切の手前にガードパイプを置いて直線的に入りにくくする。車両も通行する場所は減速を促す段差を設ける。見通しの悪い踏切を対象にカーブミラーも設置する。総工費は550万円ほどを見込み、本年度中の完了を目指す。

 市内の第4種踏切を巡っては、同市富岡の「栖雲寺踏切」で2021年に90代の男性が列車にひかれ死亡した。国の運輸安全委の調査報告書によると、この踏切では00年以降、車と列車が衝突する事故が03年と13年に発生。市と同社などは13年の事故を受け、踏切の廃止を検討したが、利便性や土地価格の低下といった理由で地元住民らから反対を受け、合意には至らなかった。

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