茨城県内でも3200万円被害 著名人なりすまし投資勧誘 昨年2件、LINEに誘導

米IT大手メタが発表した「なりすまし広告」に対する声明

交流サイト(SNS)を悪用した投資詐欺で、実業家など著名人をかたる不正な「なりすまし広告」がきっかけとなった被害が昨年、茨城県内で2件発生し、計3200万円余りがだまし取られたことが22日、県警への取材で分かった。同様の被害は全国で報告されており、県警などが注意を呼びかけている。

著名人をかたる投資詐欺は、フェイスブック(FB)などでの広告をクリックすると、犯人側がLINE(ライン)のチャットグループに誘導して1対1のやりとりに持ち込み、金をだまし取る手口。実業家の堀江貴文さんや衣料品通販大手ZOZO(ゾゾ)創業者の前沢友作さんら、著名人の画像を無断で利用して勧誘する不正広告の拡散が問題化している。

県警捜査2課によると、県内では23年、60代男性がSNSで堀江さんの画像を使った広告をクリック後、ラインに誘導されてやりとりを重ねるうち、投資名目で計3100万円をだまし取られた。男性は報道で詐欺被害に気付き、県警に相談した。別の60代男性も同様の手口で120万円をだまし取られた。このほか、複数の相談が県警に寄せられているという。

警察庁のまとめでは、同種手口の詐欺被害は23年、全国で2271件発生。被害総額は約278億円に上った。

最初の接触に使われたSNSは、男性被害者はFBが285件(22.1%)で最多。女性はインスタグラムが308件(31.5%)で最も多かった。広告をクリック後、被害の約9割で、やりとりがラインに移っていたことも確認された。犯人側が投資家を名乗ったケースは613件で最も多く、経済学者など「その他著名人」も66件あった。

FBを運営する米IT大手メタは今月16日、「産業界、専門家や関連機関との連携による社会全体でのアプローチが必要」と訴える声明を公表。著名人をかたる広告や投稿を禁止していると強調する一方、「世界中の膨大な数の広告を審査することには課題も伴う」と理解を求めるとともに、今後も対策を続けるとしている。

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