課長が毎日残業していて心配です。課長クラスになると残業代が出ないと聞いたのですが、それって本当ですか?

課長は残業代支給がないのか

労働基準法では、労働者が1日8時間・週40時間を超えて労働した場合、週に1日の法定休日に労働した場合、22時~5時の深夜に労働した場合において、原則として会社は労働者に残業代を支払わなくてはいけません。

ただし、「管理監督者」に対しては、深夜残業代を除いた法定時間外残業代と法定休日残業代の支払いをしなくてよいと定められています。なお、管理監督者は、経営者との一体性・労働時間の裁量・対価の正当性の3つの条件を満たす必要があり、管理職だからといって管理監督者に該当するわけではない点に留意が必要です。

経営者との一体性は「会社の経営上の決定に加わり、労務管理上の決定権限を持っていること」、労働時間の裁量は「自分の労働時間を決められる裁量があること」、対価の正当性は「管理監督者にふさわしい給与をもらっていること」といえるでしょう。

これら3つの条件を満たしている場合は、残業代が支払われないことに違法性はありませんが、業務量が多く、労働時間の裁量権がない場合や、課長ならではの仕事ではなく、現場作業など、一般社員と同じ業務が中心になっている場合などは管理監督者とはいえません。

上記のようなケースでは、会社に対して残業代の請求が可能です。中には、「会社の規定で、課長以上の役職を持っている人には残業代を支給しない決まり」といわれる場合もあるでしょう。

しかし、会社が規定を作成していても、管理監督者としての条件を満たしていなければ残業代を請求する権利があるため、引き下がらずに残業代を支払うよう、会社に掛け合うことが大切です。

残業代を請求する方法は

残業代を会社に請求する際は、まず、内容証明郵便を会社に送付し、労働条件や労働記録にまつわる資料の開示を求めます。資料が開示されたら、本来支払われるべき残業代の計算を行い、会社に対して残業代を支払うよう交渉しましょう。

直接交渉しても話が平行線の場合は、労働審判による手続きや、訴訟の申し立てに発展する可能性もあります。なお、自分で交渉することに不安がある場合は、弁護士に依頼するのも1つの方法です。

弁護士に任せることで、残業代請求のために必要な証拠集めや、会社との交渉をスムーズに進められる可能性が高いでしょう。専門家である弁護士に依頼すれば、自分で動くよりも手間や負担を軽減することが可能です。

名ばかり管理職の場合は、残業代を請求しよう

課長など、管理職のポストを任されていても、労務管理上の決定権限が与えられていなかったり、労働時間の裁量がなかったりするなど、名ばかりの管理職となっている場合は、会社に対して残業代を請求できます。

会社が支払いを拒否した場合でも、訴訟の申し立てを行うなど、残業代を請求する方法はあるため、まずは会社側に残業代の支払いを求めることが大切です。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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