『95』髙橋海人が人気雑誌デビューを飾り注目の的に 明かされた翔の素性とセイラの過去

ドラマ『95』(テレビ東京系)第3話では、これまでベールに包まれていた翔(中川大志)の素性やセイラ(松本穂香)の過去をQ(髙橋海人)が知ることとなる。

まず翔についてだが、祖父は政治家、父親は大病院の経営者、母親はテレビコメンテーターという家庭。29年後の秋久(安田顕)が新村(桜井ユキ)に語っているように、翔は“大臣の孫”ということになる。第1話から印象的に登場していた倉科(嶋田久作)という執事の存在が、翔が裕福な家であることを示していたが、まさかこれほどまでとは。それにしても執事でありながら余計な一言が多い、感情ダダ漏れの倉科のキャラクターが心憎い。

倉科の運転で翔の住む豪邸にやってきたQとセイラ。ここで初登場となるのが、翔の母・玲子(斉藤由貴)だ。テレビコメンテーターという、いわゆる有名人。玲子はQを見るなり「聞いてたのとイメージ違う」とつぶやき、倉科の言葉とあわせて、翔はいつもQのことを話していることが想像できる。気品溢れる落ち着いた雰囲気のある玲子は、Qの手相を見て「今年波乱がある」と占った。翔の言う通り、素人の趣味にすぎないが、第1話の冒頭で描かれた回想シーンを考えると、その占いは当たることになるのだろう。

驚くことに翔の家には巨大なプールも存在する。そこで話題になるのがセイラの生い立ちだ。翔とセイラは幼稚園からの幼なじみ。小学4年生の頃にセイラは不登校になっており、その理由は父親が事業に失敗しての夜逃げだった。さらに高校1年生の時にセイラの父親は自殺。なぜ死ななければいけなかったのかーーそのことは翔を今の姿へと突き動かす、大きな出来事でもあった。「だから変えるんだよ、どんな手を使ってでも」と心に誓う翔とQのもとに、セイラが近づいてくる。

●翔(中川大志)とQ(髙橋海人)が「水中息止め勝負」

Qが気になってしょうがないのは、翔がセイラと付き合っているのかということ。当然、Qがセイラのことが気になっているという流れになり、セイラをデートに誘う権利をかけた「水中息止め勝負」がスタートする。そこに制服を着たままプールに飛び込んでくるセイラ。プールというシチュエーションも相まって、途端に岩井俊二作品を連想させるような、勝負の行方などどうでもよくなるような、そんな青春の1ページと呼べるシーンである。父親が亡くなっているという話の後ということもあり、水中での松本穂香の表情もよりミステリアスに、物悲しいように映っている。

2024年の現代でも秋久と新村の間に動きがある。取材ということで1995年当時のエピソードを新村に話している秋久だが、どうやら新村はセイラと何らかの関係性があるようだ。「ここから先は後悔しかない」と躊躇する秋久から、新村は無理やり話を聞き出そうとする。

95年のQは人気雑誌『ストフリ』デビューを飾り、注目の的となっていた。そこで出会ったカリスマモデルの隼人(鈴木仁)をQは言われるがまま家に上げ、姉の淳子(桜井日奈子)に手を出しているのをBOØWY「Marionette ~マリオネット~」を爆音で聞きながら見て見ぬ振りをしているしかなかった。『ストフリ』でスポットライトを浴びてもなお、Qは自分の目の前の大切な人すら守れずにいた。
(文=渡辺彰浩)

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