1日1000円で生活する小笠原洋子さん74歳。捨てずに活用する「ケチカロジー」の技を公開[後編]

東京郊外の団地でひとり暮らしをするエッセイストの小笠原洋子さん。ひと月4万円足らずという年金受給額の低さによって節約がライフワークとなり、1日1000円でやりくりする生活を長年続けています。そんな小笠原さんの著書『財布は軽く、暮らしはシンプル。74歳、心はいつもエレガンス』(扶桑社)より、まだ使えるものを捨てずに活用する「ケチカロジー」=節約(ケチ)で環境に優しい(エコロジー)の技をご紹介します。

前編はこちら。

生活の中には「まだ使えるもの」が満載

ここからさらに、「ケチ」の本領を発揮してみせましょう。

まず、買い物から帰ると、私は食品類の包装を取って冷蔵庫に入れます。そのときに外す輪ゴムや接着テープや値札シール、透明ラップ袋に至るまで捨ててはいけません。所定の場所に保管します。

輪ゴムは引き出しで、袋類は籠の中、テープ類は台所横にある冷蔵庫の側面に貼りつけていきます。本当は冷蔵庫にマグネットやメモ紙を貼るのはよくないそうですけれど。

こんなことまでする理由は、輪ゴムもセロハンテープも保存用袋も買わないことにしているからです。たかがセロハンテープ? されど…です。なぜなら買ってきた食品のパッケージから剝がすテープは、すべて活用できてしまうほど便利だからです。つまりは大いなる節約精神なのです。

すでに使われた接着テープの用途はさまざまです。使い残しの食材、たとえば野菜の半分を、紙やビニール袋に入れて再保存するときに仮留めしたり、生ゴミをできるだけ小さくまとめて捨てたりするのにもテープが役に立ちます。きれいに剝がせたテープは、書類の封筒を留めるなど、文房具にもなります。

冷蔵庫の横にこうして貼ってあるのは再利用するためのテープやシール類。取り出しやすいのでサッと使えます。

これらの他に、スーパーの荷台に設置された薄いビニール袋も、帰宅後専用の箱(これも食べ終わった食品の箱など)に入れて収集しておきます。水をしっかりきった状態の生ゴミをこの袋に入れてから、自治体の指定である有料ゴミ袋に入れます。こうすると非常に小さくまとまり、ゴミのカサを減らすことができます。

ビニール袋を保管しているのは、気に入った食品の箱です。底もカットして、上から順に取り出すのがポイント。

また3パックセットの納豆や、同じく小型豆腐を3個重ねた透明包装紙は、食べ終えてヌルヌルとしたパック納豆の容器を、四つ折りくらいに小さくまとめるときに役立ちます。このときも剝がした接着テープはなくてはならない逸品です。

また、私はまな板も持っていませんが、その理由は、牛乳パックの裏やお菓子の箱裏などをまな板代わりに使えるからです。ゴシゴシと洗剤をつけて洗う手間が省けますよ。

味噌やもずくなどが入っていた透明容器も、捨てるのはもったいない。調理中に切った野菜を鍋に入れるまでの数秒でも数分でも、仮入れするのに大活躍。他にカップから出したティーバッグを、ちょっと置いておくのにも便利ですし、フタをすれば冷蔵保存に便利です。歯磨き用のコップにしたこともあります。形によっては、果物など入れてテーブルに出しても、意外としゃれた器になります。再利用した後はゴミ箱にポイです。

食品パック類は洗って一度使ってから処分します。保存容器にしたり、調理中、切った材料の一時置きにできるので便利です。
食品についてくるタレやソースも、保存して余れば使い切ります。取り出しやすいように豆腐の空パックに入れています。

その他にも、再利用品をあちこちで使っています。

センスのよいショップカードは、洗面所のコップコースターに。ほとんど着けなくなったアクセサリーや和装用の髪飾りは、壁飾りやバッグアクセサリーに。洋服の裏地や付属品の余り布はスカーフに。折れた傘の柄についていたリングを、チャームにしてはめていたこともあります。

家具の廃材はテーブル代わりに、テレビやコピー機置き場に、玄関の靴置き場に。彫刻などのあるきれいな木材は飾り板に、竹はハンガー代わりに。お菓子などに入ってくる乾燥剤はお茶筒の中に、使い切りカイロは衣類の引き出しや、布団の間や、使わないバッグの中や、靴箱に入れています。

木彫りが美しいマガジンラックの持ち手だった竹棒は紐で吊るしてふきん掛けに。不要になっても、いいものには第二の人生を与えたいのです。

洋服も同様です。古くなった肌着などはすぐに捨てず、切り刻んで拭き掃除や、靴磨きに。チラシや新聞は、調理台の上に用意しておけば、たとえばお魚などの下敷きにしたり、野菜を包んで冷蔵したりとなにかと利用価値あり。きれいな包装紙はランチョンマット代わり、グルメなチラシを敷けば、それもおかずの一品として食べている気になったりして。

いずれにせよ捨てるとき、これは再利用できるか、まったく使いものにならないかを見極めることが大事ですね。くれぐれもいらないものまで、とっておかないように。

キッチンにはなるべくものを置きません。調理グッズや器類などは、すべて備えつけの収納に収まる量にしています

※この記事は『財布は軽く、暮らしはシンプル。74歳、心はいつもエレガンス』(扶桑社)の内容をWEB掲載のために再編集しています。

撮影/星 亘(扶桑社)


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